トランプ氏、コロナ陽性公表せず500人以上と接触 元側近が暴露 本人は「フェイクニュース」と否定

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 アメリカ下院議会で、1月6日特別調査委員会による調査が順調に進んでいる。1月6日というのは、トランプ前大統領が大統領選を覆そうと画策したといわれる、前代未聞の議会襲撃事件が起こった日付である。襲撃計画者の1人と目され、トランプ政権発足直後に首席戦略官も務めたスティーブ・バノン氏が11月12日、議会侮辱罪で起訴された後は、同じように同委員会からの召還を無視したトランプ氏の元首席補佐官、マーク・メドウズ氏もバノン氏と同じ道をたどるかと思われたが、危機感を感じたのか、メドウズ氏は特別委員会の調査に協力し始めた。

◆大統領選討論会の3日前に陽性反応
 メドウズ氏が委員会に協力するというニュースとともに、同氏が今月出版するトランプ政権時代の回顧録の一部が注目を浴びた。その著書を発売前に入手したイギリスのガーディアン紙によると、メドウズ氏はその中で、トランプ氏の新型コロナ感染のタイミングについて記しており、トランプ氏の陽性反応が出たのは2020年9月29日に開催された大統領選討論会よりも3日前の9月26日だったと暴露している。同紙によると、メドウズ氏はトランプ氏がその後、別の検査を受けて陰性だったとし、1回目の結果は無視して行動を続けたという。

 メドウズ氏の爆弾発言はすぐに大きなニュースとなり、トランプ氏が実は感染者だったのにもかかわらず、マスクも着けず、必要とされた感染検査結果も提出せずに討論会に参加して、バイデン氏とその妻、メディア関係者など多くの人々の健康を脅かしたことに対する猛烈な非難が巻き起こった。

 当のトランプ氏はそれについて、広報官を通じてツイッターに声明を公表し、討論中に陽性であったという報道を「フェイクニュース」と主張。しかし、トランプ氏は昨年10月2日に陽性を発表し、その日のうちに入院となっていることから、タイミング的にはその6日前にあたる9月26日前に感染していたと見るのは自然で、メドウズ氏の告白は真実である可能性が高い。

Text by 川島 実佳