ハワイがワクチン証明をデジタル化へ 偽造接種証明の増加で
◆偽造ワクチン接種証明で逮捕者続出
ハワイ州では州外からの来訪者、または州外から帰還する州民が到着した際、ワクチン接種証明の提出、または新型コロナ検査陰性証明書の提出を求めており、違反した場合は5千ドル以下の罰金、または1年以下の禁固刑が科される。しかし、例年多くの人々がハワイを訪れる7~8月に入ると、偽造証明書を使用して逮捕された観光客のニュースが頻繁に報道されるようになった。
地元局KHON2によると、8月8日には親子2人がホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港で逮捕された。また同局の別の報道によると、8月11日には4歳と5歳の子連れでハワイを訪れた両親が偽造ワクチン接種証明を提示して逮捕。2人の子供の接種証明を提示したことから偽造が発覚したという(アメリカでは現在、12歳未満は接種不可)。またNBCニュースによると、8月29日にはワクチン名がModerna(モデルナ)ではなくMaderna(マデルナ)と書かれた偽造証明書を提示した女性が逮捕された。
これらの逮捕者は、子供が持っているはずもないワクチン証明書を所持していたり、字を間違ったりしたために不正が明るみに出て逮捕されたが、ほかにも偽造証明書を使ったが摘発されなかった、という人々はいるかもしれない。CDCが発行したこの証明書はかなりシンプルな作りで、簡単に偽造ができそうで、実際にニューヨークでは偽造していた人々が摘発された。
CNNによると、ニューヨークのマンハッタン地区検察局は8月31日、偽造ワクチン接種証明を200ドルで販売したうえ、ニューヨーク州のワクチン接種データベースに偽の記録を250ドルで不正入力していた容疑で15人を起訴した。
◆ワクチン証明デジタル化へ
このような背景を受け、ハワイ州政府では偽造カードを阻止するための新たな手段として9月8日、ワクチン接種証明をデジタル化した「ハワイ・スマート・ヘルスカード」をローンチした。ホノルル・スターアドバタイザー(電子版)によると、このデジタル証明を使う場合、認証アプリでQRコードをスキャンすることが可能。ワクチン証明書を持ち歩くと紛失したり汚したりする恐れもあるため、これは良いアイデアだろう。
しかし、同記事によると、州政府ではいまのところデジタルカード利用を義務化しておらず、利用は任意で、いままで通り紙製のカードを使用したい人はそのまま使えるという。どちらも認めていれば、偽造カード利用予防効果が薄れてしまう。せめて観光客に対してデジタル証明を義務化しなければ、完全に偽造証明の利用を阻止することは不可能ではないだろうか。
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