一党独裁の繁栄はこのまま続くのか? 中国共産党100周年
◆厳しい管理はいつか裏目に 若者はイデオロギーより自由重視
もっとも、この成功が続くことに懐疑的な意見が欧米の識者から出ている。フォーリン・アフェアーズに寄稿した戦略国際問題研究所のジュード・ブランシェット氏は、共産党が経済を導き民間企業を抑制すべきという習主席の信念は、国の将来の経済成長を妨げると主張する。また、習氏が党幹部にイデオロギーの正統性を守り、習氏に個人的忠誠心を示すよう求めているが、それは統治体制の柔軟性と能力を損なうことになると指摘。さらに国家安全保障の定義を拡大して強調することは、国をより内向きで誇大妄想的な方向に導くことになり、「戦狼」ナショナリズムを解き放てば、より攻撃的で孤立した中国を生み出すことになるとしている。
ネイサン氏は、少なくとも政治に関心のある中国人は政権に異議を唱えることはいかに危険かを知っており、現実的に政治的代替手段はない以上、共産党崩壊はカオスを意味すると信じていると述べる。これが政権への高い満足度につながっており、権威主義体制が繁栄と国家の誇りをもたらす限り、中産階級からの支持は得られると説明している。
しかし、都市部で教育を受けた若い中国人は、より多くの自由とよく耳を傾けてくれる政府を求めるという調査結果もあると同氏は述べる。中流階級では、政治システムへの不満を表明する割合と、司法の独立や三権分立などの自由民主主義的価値観を支持する割合が、非中流層のそれぞれ2倍、2倍以上となっている。とくに若い中流層でその傾向が顕著だ。共産党はそれを認識し、反対意見の取り締まりをこれまで以上に強化しているという。しかし政治体制がいつどのように変化するかを予測することは不可能であり、抑圧だけで人々を永遠に黙らせることはできないと同氏は指摘している。
◆欧米の押しつけは不要 国営メディア反論
欧米の批判に対し、中国国営新華社の記事は、西洋の政治理論では中国共産党の成功を説明できないとし、人民のために尽くすという姿勢を貫いてきた共産党は、国民から「自分たちの政党」と見られ信頼されていると反論する。さらに中国の政治制度は欧米とは異なる社会主義民主主義だと説明。すべての主要な意思決定は手順に基づき民主的な審議を経て行われ、独自の党内民主主義が採用されているとしている。
よって中国共産党には西洋の民主主義モデルは不要で、すでに国家にあった民主主義が作り上げられていると記事は主張。栄光の100年が歴史に刻まれる一方で、共産党は人民のための人民による新たな章を書く準備が出来ていると自信を示している。
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