未成年にLGBTに触れさせてはならない……ハンガリーで法案可決 プライドパレードも禁止か

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◆『ハリー・ポッター』はR18、プライド・パレードは禁止?
 今回の可決が具体的にどのような制限を生むのかはまだわかっていないが、ハンガリーのテレビ局RTL Klubは、同性愛者を想起させるテレビドラマや映画は、深夜しか放映できなくなるだろうと指摘している(フランス・アンテール)。そのなかには、『ブリジット・ジョーンズの日記』や『ビリー・エリオット』『ハリー・ポッター』なども含まれる。また、同性カップルが登場するコカ・コーラのCMなど、同性愛を想起させるCMはすべて放映禁止となる可能性が高い。書籍も同様だ。人権問題や性教育に関するプログラムでさえ、LBGT問題に触れられなくなってしまう可能性もある。

 プライド・パレードの開催もおそらくハンガリー国内では困難となるであろう。NGOフォービッドン・カラーズの代表は、「この法は、子供がいるかもしれない場所でLGBTI問題を口にすることを禁じている」ため、ハンガリー国内のプライド・パレードは企画自体難しいと発言している(リベラシオン紙)。実際、公道で行うものを未成年者の目に入らないようにすることは不可能だ。

◆性的少数派と性犯罪者を同一視
 オルバーン首相は、今回の修正案を「子供の権利を守るため」と位置づけるが、その論理は歪んでいる。性的少数派と性犯罪者を同一視しているからだ。これは、LGBT+の差別へと誘導するものだ。

 また、ハンガリーが2004年から加盟している欧州連合(EU)の基本権憲章は、性的思考に基づく差別を禁じている。そのため、これまでもオルバーン首相の方針は、何度かEU諸国の批判を受けており、今回もフランスの欧州担当国務長官や、アムネスティ・インターナショナルのハンガリー代表デビッド・ヴィグ氏らが、批判のコメントを発表した(フランス24)。

 ヴィグ代表はまた、ハンガリーの今回の決定に、2013年にロシアで採択された「年少者を対象とした同性愛の「プロパガンダ」行為を罰する法律」への擦り寄りを見ている(フランス・アンテール)。ちなみにハンガリーは、パンデミックにおいて、EUでいち早く、EUが承認していないロシアのワクチン、スプートニクVの接種を始めており、どこまでロシアに追随するのだろうか。

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Text by 冠ゆき