米共和党分裂の危機 反トランプ派150人が新党結成ほのめかす
◆共和党7割「バイデン氏は正式な大統領ではない」
トランプ前大統領がいまも共和党政治と支持者層に大きな影響力を持つことは否定できない。しかし、4月下旬に行われたNBCニュースのアメリカの有権者を対象とした世論調査によると、全体の32%が同氏を「好ましい」、55%は「好ましくない」と答えたという。また、「共和党よりトランプ氏を支持する」と答えた人は44%で、「トランプ氏より共和党を支持する」と答えた人は50%だった。ツイッターやフェイスブックから離れて存在感が薄れたこともあるのか、同氏の支持は一時期と比較すると下降しているようだ。
しかし、CBSが行った共和党員を対象とした世論調査では、バイデン大統領が「正式な大統領だと思うか」という質問に「いいえ」と答えた人が7割近い67%に上り、多くの共和党員がいまだにトランプ氏の嘘を信じていることがわかる。また、「共和党員にとって、トランプ氏に忠実であることは大事か」という質問にもそれに近い66%が「はい」と答えており、共和党員の間でいまも「トランプ信者」が多いことが伺える。
また、連邦議会襲撃はトランプ派ではなく、極左グループ「アンティファ(ANTIFA)」の仕業だと信じる共和党員も多く、多くの人々がいまも盲目的にトランプ氏を信奉している。多くの共和党員がこのような状態になっていることから、アメリカでは共和党一部がすでに「トランプ・カルト」化しているというのが通説である。その一方で、リンカーンやレーガン元大統領を敬愛する伝統的共和党員はこのようなトランプ・カルト化に警鐘を鳴らしているものの、2022年の中間選挙前に党が分裂すれば、「共倒れ」になる可能性も高い。
ソーシャルメディアというプラットフォームを失い、ニューヨーク州などで訴追されるとみられるトランプ氏が2024年の大統領選に出馬するか否かは定かではない。2022年の中間選挙でトランプ派と反トランプ派の共和党員がどれだけ議席を獲得するかで今後の共和党の運命は大きく変わっていくだろう。
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