「トランプ2024」はある? 再出馬が噂される理由

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◆法的にはOK、史上二人目となるか?
 法的にトランプ氏の再選は可能だ。アメリカ合衆国憲法修正第22条では、何人も2期を超えて大統領に選ばれてはならないとある。つまり2期までは務めることができ、連続である必要はないので、2024年に出馬しても問題はない。

 4年後にトランプ氏は78歳になっているが、現在のバイデン氏より1歳だけ上ということになり、十分可能性はあると豪ABCは見る。過去に返り咲きの2期目を務めたのはグローバー・クリーブランド大統領だけで、第22代(1885年~1889年)と第24代(1893年から1897年)大統領として選出されている。

◆出馬すれば本命? 次の世代には迷惑
 トランプ氏再出馬に期待を寄せる人も多い。元トランプ氏のアドバイザー、ブライアン・ランザ氏は、今年の大統領選はバイデン圧勝と見られていたのに、ふたを開けてみればそうでもなかったため、トランプ氏は4年後も「いい位置」につけるだろうと述べる。もっとも今年の引き際が肝心で、4年後へのダメージにしないことが条件だとしている(英インデペンデント紙)。

 共和党のストラテジスト、マイク・デネヒー氏も、トランプ氏の人気は非常に高く、指名争いでは本命になるだろうとしている(ボストン・ヘラルド紙)。トランプ氏の元首席補佐官代行、ミック・マルバニー氏もトランプ氏が政界に留まると見ており、個人的には2024年の候補者リストには必ず入れるだろうと述べている(豪ABC)。

 しかし当惑するのは、2024年の大統領選を狙っている共和党議員たちの参謀だという。彼らはトランプ氏の支持者への影響力の大きさから見て、4年が過ぎても、共和党の指名争いでは有力候補として残る可能性は高いと見ている。この事実だけでも、候補予定者の野心や、資金集め、スタッフ集めの動きを鈍らせてしまっているという。また、トランプ時代を乗り越え、再編成を望む共和党全国委員会にとっても頭を抱える話だという(アクシオス)。

 アクシオスによれば、トランプ氏は2017年の就任式当日に、連邦選挙委員会に2020年の候補者資格を得るための書類を提出していたということだ。せっかちで負けず嫌いのトランプ氏だけに、「トランプ2024」はすでに始まっているのかもしれない。

Text by 山川 真智子