根拠なき「不正選挙」主張と、ネット拡散の理由は? 米大統領選
◆もはやフェイクニュース 不正を信じる声がネットで拡散
しかしトランプ氏の不正投票だという主張はネット上に広がった。ツイッターでは、投票日から1日で不正選挙に言及したリツイートは22万1000件に上った。選挙前の月曜日には同じトピックでのツイートは1万件だったので、劇的に増えたとAPは指摘する。
さらに、トランプ氏の票が捨てられた、集計用機械が故障したなどという誤解を招くようなツイートもソーシャルメディアで拡散。民主党を茶化したり、隠された票が大量に出てきたりするフェイク画像も続々と登場した。#stopthesteal(汚い選挙勝利を止めろ)は、少数派からより主流の保守派にまで急速に広がったということだ(ニュースサイト『アクシオス』)。
ネット上の誤情報を研究するワシントン大学のケイト・スターバード教授は、この現象を分析している。トランプ氏のさらなるリード拡大を予測して眠りについた有権者は、朝起きてバイデン氏のリードを知らされ、事態を上手く解釈できず、この混乱につけ込む形で、突然のバイデン優勢へのシフトを認めたくない人々の間に事実無根の主張がまかり通ってしまったと見ている(AP)。
◆共和党議員も距離 不正主張は負けを見越した戦略?
さて本来ならトランプ氏の主張を支持するはずの共和党の議員たちだが、その対応も分かれている。CNNによればリンゼイ・グラム上院議員などの有力議員たちはトランプ氏側に立つとしているが、多くの共和党議員はコメントを控えている。不正選挙という根拠のない主張に賛成しない議員も多いが、いずれもトランプ氏を名指しで批判することは避けているということだ。
アクシオスは、トランプ氏が不正選挙を主張するのは、落選した際に、自分は不当にホワイトハウスから追い出されたとして面目を失わないために都合がよく、さらにバイデン政権への移行を邪魔する意図もあると見ている。選挙での接戦はつきもので、不法行為が広がっていたという証拠もないが、トランプ氏はこれまでと同様に素早く大衆を信じさせ、共和党幹部を同調させていると指摘。あきれた戦術ではあるが、効果はあると見ているようだ。
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