トランプ氏の無関心が裏目か 米でコロナウイルス感染拡大

Evan Vucci / AP Photo

◆アメリカの感染者数は日本の7倍、死者は4倍 
 アメリカの疫病対策チームのトップが2018年5月、突然退任し、その結果、疫病対策チーム自体が解散した(ワシントン・ポスト)。また、トランプ大統領は新型コロナウイルスへの不安が高まるなかCDCの予算を削減しようとして民主党から非難を受けた(ABCニュース)。トランプ氏はこれまで、アメリカにおける疫病発生が現実的ではないと信じていたらしく、新型コロナウイルス発生後もその姿勢を崩していなかった。
  
 しかしトランプ氏は3月13日にいままでのトーンを一変。新型コロナウイルスに関して国家非常事態宣言を行い、「全体的なゴールはウイルス感染拡大を阻止することだ」と述べ、検査体制の強化を強調するなど、ウイルス感染拡大を阻止することの重要性を強調した。その際、アメリカ国内での検査体制のミスなどに関して記者に質問を受けると、「私に責任はない」と発言し、責任逃れの姿勢を見せた(ザ・ヒル)。

 ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、アメリカ国内で3月17日現在確認されている感染者数は5726人、死者数は107人で、感染者は全米50州で確認されている。一方、厚生労働省が3月17日に公表した、日本国内で確認された感染者数は868人、死者は29人であり、医療体制の整っている日本よりもかなり早いペースで感染が拡大していることがわかる。

 トランプ大統領の疫病対策軽視と「自分たちは大丈夫」という根拠のない自信から、アメリカ政府が新型コロナウイルスに対する早期の対策を打たなかったことが、同国における新型コロナウイルス感染拡大の理由となった可能性も高いと言えそうだ。

Text by 川島 実佳