新型肺炎:渡航制限、隔離措置はやりすぎ? 米政府の対応に賛否

Ringo H.W. Chiu / AP Photo

 アメリカは、入国前14日以内に香港、マカオを除く中国での滞在歴がある外国人(米国民の直近の家族、永住権保持者、航空会社クルーを除く)の入国を禁止した。また、中国湖南省から帰国する自国民に対しても、14日間の隔離措置を取っている。この対応をめぐり、専門家がさまざまな問題点を指摘している。

◆対応は間違い? 行き過ぎは不安を煽る
 多くの専門家が、厳しい措置から生まれる恐怖によって、かえって心理的混乱が生まれるのではないかと指摘している。ノースイースタン大学の法学教授、ウェンディ・パルメット氏は、厳しく広範囲にわたる隔離が市民の政府への信頼を低下させるとし、健康に関する一般原則として、政府は選択肢のなかから「最も制限の少ない」ものを取るべきであると指摘する。人々の権利や自由を必要以上に制限してはならないということだ(ガーディアン紙)。

 Johns Hopkins Center for Health Securityのジェニファー・ナッツォ氏は、隔離されることや、渡航禁止の影響を心配する人々がそれらを回避しようとすれば、逆にウイルスの拡散を抑えることが難しくなると指摘する。病気が罪というイメージが広がるため、感染を隠す人が出ることを心配するという。また、アメリカには不法移民がたくさんおり、今後感染が広がれば、強制送還を恐れて受診しない恐れがあるとパルメット氏は述べている(同上)。

 アミ・ベラ下院議員は、ウイルスがアジア発ということで、政府の措置がアジア人への差別を引き起こすことを懸念している。ウイルスは人種に関係なくうつると述べ、差別を作り出し、特定集団への不安を抱かせることはできないと主張している(政治誌ポリティコ)。そのほかに、隔離措置が続けば、限られた公衆衛生資源が足りなくなってしまうといった医療崩壊を懸念する意見もある。

Text by 山川 真智子

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