オランダが呼称を統一 俗称の「Holland」は不使用に

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◆別の地域も知って! 観光客分散を期待
 そもそも「ホランド」は、オランダの12の州のうち2つを指す呼称だった。アムステルダムのある北ホランドと、ロッテルダムとハーグがある南ホランドがそれにあたる。19世紀に「ホランド」は国の経済と富の中心地だったため、これが国を代表する簡略的呼び名になった。この呼び方がいまではすっかり定着し、オランダの公式ツーリズムサイトでさえ、Holland.comとなっている。今回の呼称統一には、オランダの別の地域も海外の人々に知ってもらおうという国際的イメージ戦略があるようだ(ウェブ誌『クオーツ』)。

 EFEは、呼称統一の裏には深刻な理由があると伝える。実はオランダはこのところ「オーバーツーリズム(許容範囲を超える観光客が押し寄せる状態)」に悩まされており、とくにアムステルダムなどは安いフライトを利用してくる観光客でいっぱいだ。一般市民の生活にも支障が出るほどだという。

 人口1700万人強のオランダに、2018年には1800万人が訪れた。観光客にホランド地域以外を知ってもらい、行先を分散させることで、ツーリズムを管理し、持続可能なレベルにするという目的もあるということだ。オランダの観光協会は、より多くのリピーター訪問者が期待できる国を優先するため、スペイン、イタリア、日本などのオフィスを2020年春に閉鎖し合理化を図るようだ(クオーツ、EFE)。

◆東京五輪間近、日本での呼び方は?
 日本では、これまで「オランダ」と呼んでおり、外務省のホームページでもオランダ王国として掲載されている。オランダ語だとネーダラント、またはネーデルラントが近いようだが、英語に合わせればネザーランズ、ネザーランドあたりになるのだろうか。

 国名表記の変更については、最近ではグルジアがジョージアに変わった例がある。2008年に起きた武力衝突がきっかけで、当時のグルジアはロシアと外交関係を断絶した。グルジアがロシア語由来の呼称だったため、英語読みのジョージアに変えるように各国に要請があり、日本政府が呼称を改めた。この夏は東京五輪も控えているが、オランダの呼び方にも注目だ。

Text by 山川 真智子