中道派バイデン氏を左派プログレッシブ2名が猛追 混戦の民主党指名争い
◆エリザベス・ウォーレン上院議員が台頭
逆に、ここに来てその存在が目立ってきたのが「プログレッシブ」と呼ばれる左派のバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)とエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)である。とくに、2016年の大統領選で民主党予備選でヒラリー・クリントン元国務長官と接戦を演じたサンダース上院議員は、アメリカの公的健康保険制度「メディケア」の対象を国民全員とする「メディケア・フォー・オール(Medicare for All)」などの政策を打ち出している。サンダース氏はバイデン氏よりも1歳年上の77歳であるが、精力的な選挙運動と一貫した姿勢、力強い弁舌で年齢を感じさせない。
またエリザベス・ウォーレン上院議員の活躍も目立ってきている。ワシントン・ポスト(電子版、6月12日付)に記事を寄せたコラムニストのポール・ウォールドマン氏は、大統領選を予測するうえで全米で最も大事な目安となる州といわれるアイオワ州で6月に行われた世論調査で、ウォーレン氏の支持率が3月の9%から15%に躍進したと述べ、またウォーレン氏の遊説先にはいつも多くの観衆が集まることを指摘。ウォーレン議員の「効果的な話法を使って政策に関する問題を説明する能力や尽きないエネルギー、そして熱心さ」が観衆を惹きつけると述べている。
◆民主党候補は3人に焦点、トップは依然バイデン氏
政治情報サイト『realclearpolitics.com』によると、9月3日~5日に実施されたABCニュースとワシントン・ポスト紙の世論調査では、バイデン氏が29%、サンダース氏が19%、そしてウォーレン氏が18%の支持という結果だった。また、9月1日~3日にエコノミスト誌とYouGovが共同実施した世論調査では、バイデン氏の支持率が26%でトップ、次いでウォーレン氏が22%、サンダース氏が14%となっている。
しかしその前の8月26日~9月1日にポリティコとモーニング・コンサルトが行った世論調査ではバイデン氏が32%、サンダース氏が20%、ウォーレン氏が16%の支持とバイデン氏が圧倒的なリードを見せている。また8月22日のIBD誌とテクノメトリカ(TIPP)の世論調査ではバイデン氏28%、ウォーレン氏24%、サンダース氏14%の支持という結果となっている。
世論調査結果を見ると、中道派からのバイデン氏支持率は下がっていないようだが、20人以上もいた民主党候補がだんだんと脱落してきたことから、プログレッシブ派の票がウォーレン氏とサンダース氏にまとまってきているようだ。多数の候補者がひしめいていた2020年の米大統領選民主党予備選は今後この3人の候補者で争われることになるだろう。バイデン氏が民主党候補の座を確保できれば、副大統領候補としてウォーレン氏を指名することも十分にあり得る。
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