政府機関閉鎖の教訓「仕掛けた側が必ず負ける」 トランプ氏も例に漏れず AP分析

AP Photo / Jacquelyn Martin

 トランプ大統領はこの1ヶ月、古参のナンシー・ペロシ下院議長や上院多数党院内総務のミッチ・マコーネル議員がかつてワシントンDCで学んだ貴重な教訓を改めておさらいした。政府機関閉鎖はうまくいかないという教訓だ。

 トランプ大統領は先週、当初の計画を撤回し、メキシコ国境に壁を建設するための予算を計上しないというペロシ氏の条件で政府機関閉鎖を解除することで合意した。その後の交渉で大統領が求める建設資金57億ドルを確保する状況を想定するのは困難である。政府機関が再開されたいま、大統領がまたもや閉鎖に踏み切る戦略を採用することはないだろう。とりわけ上院の共和党議員は、同じ事態の繰り返しを望んでいない。

 3週間のつなぎ予算が確保された現在、ペロシ氏、マコーネル氏、上院少数党院内総務のチャック・シューマー氏など主要な政治リーダーたちが見守るなかでの交渉の行方は、強力な歳出委員会に所属する上下両院の議員次第である。カリフォルニア州選出の民主党議員であるペロシ氏は議長の座につく以前には長らく同委員会のメンバーであったほか、ケンタッキー州のマコーネル共和党議員はいまもメンバーの一員だ。両者とも、交渉のまとめ方を熟知している。

                                                                                                                 

 しかし1月30日の会合では、国家安全保障の施策として予算を確保すべき壁関連安保プロジェクトを何にするかという偏った問題に話題が集中した。両党だけでなく、無給勤務状態から28日に職場復帰した多くの連邦職員にとって、気の休まる解決策がもたらされる保証はどこにもない。

「かつて、大統領は離れたところにいて、議会に裁量の余地を与えたときには、予算をめぐる二度の合意を含め、何度か超党派的な合意に至ることができた。しかし大統領が党利党略を強権的に押しつけてくると交渉が決裂する傾向がある」と、民主党のシューマー議員(ニューヨーク州選出)は28日にコメントしている。

 トランプ大統領自身は合意成立に悲観的で、57億ドルに満たない提案は受け入れないと公言している。幼少期に親と共にアメリカに不法入国した移民、いわゆる「ドリーマー」に対する保護など、さらに大きな移民案件を追加しても合意に至るのはやはり困難だと、ウォールストリートジャーナル紙とのインタビューで語っている。
 
「もし誰もが問題の処理を一人の人物に委ねて交渉を一任したら、それで問題は解決するだろう。現時点で、そのような事態は考えづらい」と、マコーネル議員のもとを昨年12月に離れたロビイストのヘーゼン・マーシャル氏は述べている。「大統領にとって良い環境だとは思えない。ペロシ氏にとってもあまりにも荷が重いだろう」

 交渉の行方が不確実な中にあって、ホワイトハウスでは国家非常事態を宣言するという強権を発動し、災害援助などの予算を壁建設の安全保障に恣意的に流用することも検討している。その場合、トランプ大統領は壁建設の要求に適う包括的な連邦予算法案に署名して、予算のすべてもしくは一部を即座に手にする可能性が生まれる。

「最善の対応策は立法手続きで処理すること」と、ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官はコメントしている。しかしながら、「与えられた仕事を議会が実行しないのなら、議会の欠陥を補うために大統領が行動せざるを得ないだろう」と付け加えている。

 非常事態宣言を発動すると、トランプ大統領が属する共和党から反発を受ける可能性がある一方で、政府機関を閉鎖したときの現実に屈することになる。それは、閉鎖した側がいつも負けるというものだ。

 1990年代、当時のニュート・ギングリッチ下院議長が大統領に均衡予算を要求しようと2度にわたる無益な政府機関閉鎖を実施したのち、ビル・クリントン大統領に政治的な敗北を喫したのをペロシ氏とマコーネル氏は目撃してきた。以降、政府機関は閉鎖されることなく約20年が経過した。

 2013年には、共和党の強硬派議員たちがバラク・オバマ大統領の看板政策だった医療保険法を「中断」させようと無意味な政府機関閉鎖をしようとしたが、最終的には実施を断念した。そして、民主党が「ドリーマー」移民の保護を目指して、短い間だが政府機関を閉鎖しようとしたときは、トランプ大統領とマコーネル氏による機敏な反撃により敗北を喫している。

 閉鎖戦略の根本的な欠陥は単純だ。政府機関を閉鎖させた当事者はたいてい明らかである。一般国民はその当事者を非難するため、争いをしようとしても影響力が削がれる。政敵が単に政府機関の再開を求めているときに、非難の矛先をその相手に向けるのは困難である。

 今回の場合、世論調査の結果は決定的だった。AP通信社・NORC世論調査センターが実施した調査によると、トランプ大統領の支持率はわずか34%で、前月の42%を下回った。

 政府機関閉鎖に関連する事実には、閉鎖の引き金を引いた政党は時の経過とともに分裂し、調和が乱れるという側面もある。マイク・ペンス副大統領は先月24日、不満を持つ共和党上院議員たちとの昼食でさんざん小言を聞かされ、複数の共和党員はその後の投票でトランプ大統領を見限った。

 他方、ペロシ氏は自身が置かれた状況で政治リーダーがすべきことを何でも実行した。民主党に対する国民の支持が底堅く、大統領支持率が下落するのを目の当たりにして断固とした態度を取り、トランプ大統領は壁の話をする前に政府機関を再開すべきだと主張した。

 トランプ大統領は政府機関閉鎖の火付け役になったという事実を拭うことができなかったため、連邦職員が苦境に喘ぐ中で要求を強めたことで事態は悪化し、閉鎖に伴う問題も拡大した。ニューヨーク市のラガーディア空港が先月25日に一時閉鎖されたときなどには、持続可能な状態でないことが証明された。

「政府機関を閉鎖しても、まともな影響力行使につながらない」と、共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)は最近放送されたCNN番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」でコメントしている。「それこそ、私がいまここで学んだ教訓だ」

By ANDREW TAYLOR, Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP

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