トランプ氏の自費で客にファストフードも 政府閉鎖の影響、ホワイトハウスにも

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 メキシコ国境の壁建設費用を巡る論争に端を発した政府機関の一部閉鎖は、トランプ大統領自身の生活にも影響が及んでいる。トランプ大統領は、公邸であるホワイトハウスに居住しているからだ。

 執事を筆頭に、電気技師からシェフに至るまで、ホワイトハウスでの生活を支えるおよそ80人のうち、現在、実際に仕事をしているのはわずか21人だけだという。残りの人々は、自宅待機を命じられている状況だ。

 それでもなお、政府機関が一部閉鎖されているからといって、トランプ大統領とメラニア夫人、そして12歳になる息子のバロン君が住むホワイトハウスの2階で、大統領自身が自分でベッドメイキングを行ったり、ごみ箱の紙屑を捨てに行ったりしているわけではない。

 ホワイトハウスで働いているスタッフの人数が減ったとはいえ、依然、一部の執事やシェフは実働している。少ない人数ながらも各スタッフが、ホワイトハウスの基本的な家事を担当し続けている。

 しかし、ホワイトハウスと取引のある花屋からの、定期的なフラワーアレンジメントサービスは停止したままだ。これは、必要不可欠なサービスだとはみなされていないからだ。

 1月21日、全米で優勝したクレムソン大学のフットボールチームがホワイトハウスを訪問した。この際、トランプ大統領は、ホワイトハウスのスタッフの人手が足りないため、メラニア夫人がチームのメンバーたちのためにサラダを手作りし、もてなす必要があるかもしれないと冗談めかしてツイートした。そして実際にはその当日、トランプ大統領が費用を負担し、ハンバーガーやフレンチフライ、ピザなど大量のファストフードを取り寄せてフットボールチームを歓待した。

 とはいえ、少人数ながらも残った公邸スタッフたちは、歴史上もっとも長く続いている一部閉鎖の中で、トランプ大統領がしきりに表現する「ホワイトハウス生活の孤独感」を癒やすのに貢献しているかもしれない。

 トランプ大統領は、「私はホワイトハウスでたった1人で(なんと哀れな!)民主党員が戻り、何より急務となっている国境警備に関する取引を行うのを待っている」とクリスマスイブにツイートした。

 今回の政府機関の一部閉鎖によって、ホワイトハウスという社交の場に冷や水を浴びせることとなった。大勢の見学者でにぎわっていた歴史的な邸宅は、ほとんど訪れる者もいない博物館となっている。

 受付で自撮りをする人々の姿もない。ホワイトハウス内の有名な赤の部屋、青の部屋、そして、緑の部屋を巡る公共の見学ツアーも中止されたままだ。

 昨年のクリスマス前に開催された年末最後の歓迎会で、トランプ大統領とメラニア夫人が帰途につく招待客を見送って以来、クレムソン大学のフットボールチームがホワイトハウスを訪問するまで、トランプ大統領はホワイトハウスに大人数のグループを招待しなかった。スタッフの人数が少ないことはその理由の1つだ。しかし、それはまた、世間の視線を気にした上での配慮にも起因している。

 トランプ大統領が統括する行政機関のおよそ4分の1が業務停止を余儀なくされる一方で、社交的な催しに注力し続けることは、明らかに望ましくないだろう。

 アメリカ議会の指導者や様々な国会議員の小規模なグループが、トランプ大統領と交渉するために時々ホワイトハウスを訪れ、そのまま食卓を共にすることもあった。

 しかし、ケータリングサービスを提供するスタッフが不足していることから、トランプ大統領と最近ランチを共にした共和党の下院議員たちのグループにステーキを用意するためには、ホワイトハウスのウエストウィング(西棟)地下にある海軍が経営する「食堂」へ向かわざるをえなかった。

 政府機関の閉鎖が始まって以来、トランプ大統領は、フロリダ州パームビーチにある別荘、マー・ア・ラゴへの旅行を延期している。普段、トランプ大統領はマー・ア・ラゴに滞在中は、毎日ゴルフのラウンドをこなしたり、古くからの友人に会って旧交を温めたりすることを楽しみにしている。トランプ大統領にとって、クリスマスと年末年始をフロリダのマー・ア・ラゴで過ごし、また、冬の間は週末ごとに同地へ赴き、毎年恒例のスーパーボウルのイベントをにぎやかに開催するのが例年の行動パターンだ。しかし今年、同大統領はこの慣例を廃止した。ホワイトハウスによると、2月3日のスーパーボウルの試合当日にトランプ大統領がどこで過ごすのかはまだ明らかになっていないという。

 1月17日の夜、大統領の家族専用の軍用機がパームビーチの空港に着陸した。しかし、ホワイトハウスは誰が搭乗していたのかに関するコメントを発表していない。

 ホワイトハウスの元門衛であり、大統領邸宅の管理責任者を務めた経験を持つゲイリー・ウォルターズ氏は、132室からなるホワイトハウスと、そこにある貴重な品の数々は24時間体制での維持と監視が求められるため、機械技術者と運用技術者、および電気技術者は、数少ないクルーメンバーに含まれていると語っている。

 イーストウイング(東棟)にいるメラニア夫人の側近はもともと数が少ないが、今回の閉鎖によってさらに半分にまで削減された。メラニア夫人を担当する女性広報官であるステファニー・グリシャム氏によると、11人いる側近のたった5人だけが職務を遂行しているという。

 社交行事が次々と延期される一方、この先のイベントの開催計画は続いている。各州の知事を招待する年次舞踏会は2月24日に、聖パトリック祭の式典は3月に、そして毎年恒例のイースターエッグロールは4月22日にそれぞれ開催が決定している。

 しかし、これらのイベントも、閉鎖が長引けば、中止や延期となることが考えられる。トランプ大統領は、連邦政府の一部閉鎖は、「長期間に及ぶ」可能性があると述べている。

By DARLENE SUPERVILLE, Associated Press
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Text by AP