動き出す2020年米大統領選 民主一番乗りはウォーレン上院議員

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◆共和ロムニー氏は出馬? 本人はとりあえず否定
 一方、共和党側でも大統領選でトランプ氏に対抗して予備選出馬の動きを見せる複数の議員がいる。そのうちの一人が、2012年の米大統領選でバラク・オバマ前大統領に敗れたミット・ロムニー上院議員である。元マサチューセッツ州知事でモルモン教徒でもあるロムニー氏は、同教徒が多く居住するユタ州に移住して上院選に当選。今会期より上院議員としてワシントン入りした。

 トランプ氏が大統領選出馬中は反トランプ派であったロムニー氏だが、同氏が大統領に当選後はその姿勢が影を潜めていた。だが、今年1月1日、トランプ大統領が目の敵にする米紙ワシントンポストの意見欄に突然寄稿し、ジェームズ・マティス前国防長官とジョン・ケリー前大統領首席補佐官の辞任や、同盟関係にあるクルド人部隊を見捨てる結果になるともいえる米軍のシリア撤退を強く批判し、「トランプ氏は大統領の器ではない」と主張した。

 ロムニー氏による元旦の大胆発言は、新年を迎え2020年の大統領選への気運が高まりつつあるなか、トランプ大統領を批判することで同氏自らの出馬をそれとなく予告したものと思われた。ロムニー氏は3日になりCNNのインタビューで、「2020年大統領選には出馬しない」とそれを否定したが、政治家が状況や支援具合の変化によって選挙出馬の意思を示したり、隠したりするのはよくあることで、チャンスがあれば今後姿勢が変わる可能性も高い。

 反トランプの姿勢を貫くジョン・ケーシック前オハイオ州知事も2020年大統領選出馬への意思を示す1人だ。昨年9月14日付のCNBC(電子版)の報道によると、同じく反トランプ派の保守系政治アナリストで共和党に影響力を持つビル・クリストル氏は、ケーシック氏と同じく反トランプ派のアリゾナ州選出の前上院議員ジェフ・フレーク氏、ネブラスカ州選出のベン・サス上院議員の擁立を狙っているという。しかし、共和党員のトランプ大統領支持が強いままである場合、結局共和党予備選でトランプ氏に対抗する候補者が誰もいなくなる可能性も十分ある。

 民主党側ではバイデン前副大統領やカリフォルニア州選出のカマラ・ハリス上院議員、ニュージャージー州選出のコリー・ブッカー上院議員などがウォーレン氏に負けじと今後数ヶ月のうちに次々と出馬の意思を示すものと予想される。

Text by 川島 実佳