アメリカの若者が選挙に行かない理由 日本とは異なるシステム上の問題も
◆選挙は平日 現制度は若者に不向き?
多忙に関しても、「忙しくて時間とエネルギーがない」「時給制やシフト制で働いていたり、出張で働いていたりする人には投票は厳しい」といった意見が出ている。
今年の中間選挙では、期日前投票が飛躍的に伸びたというニュースもあるが、期日前投票や不在者投票ができない州もあり、その場合は仕事を休んで投票に行かなければならない(注:アメリカでは投票日は平日)。ウェブ誌『スレート』は、アメリカの投票システムは安定した職と定住場所がある大人に向いており、若者やマイノリティのような不安定な層には向かないとしている。
◆無関心より幻滅か? 大人からは批判
「選挙という行為に熱心になれない」「政治が嫌いで関わりたくない」といった選挙への無関心を上げる若者もいたが、多くの若者に顕著だったのは、選挙への幻滅だった。
とくに、2016年の大統領選は若者に大きなショックを与えたようだ。ヒラリー氏を支持した若者は、トランプ氏勝利という選挙結果は衝撃的で、システムへの信頼があっという間に砕け散ったとし、「よくわからないのに投票する有権者になるより、投票しない物事をよく知る人でいたい」と述べている。
2016年に民主党に投票した別の若者は、もう民主党とは信条が同じではないと感じると述べる。上の世代に耳を傾けるばかりではなく、自分たち若者の未来のために何かしてくれる政治家が必要だと述べた。
2016年に民主党サンダース候補のボランティアだった若者は、最後にサンダース氏が党のために敵対していたヒラリー候補を承認したことなどで、政治は茶番だとわかりすっかり嫌気がさしたという。
その他にも、「知らないことがあるのに、投票に自信が持てない。間違った決定を下したくない」「自分の一票では変わらない。投票に行かないと非難されるが、有権者を熱狂、関与させるものがない」「選挙制度が間違いだと思っているのに選挙に行くことはその制度を承認することになる」などの意見があった。
12人のインタビューに対しては、ニューヨーク・マガジンのコメント欄にたくさんの意見が寄せられている。彼らの考えを批判し、投票に行くことを訴える大人からの意見が目立つ。ただ若者が投票に行きたがらない下地を作ったのは他ならぬ大人たちでもあり、アメリカの未来を憂うだけでは、不十分と言えないだろうか。
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