地元の英雄レブロン・ジェームズを攻撃したトランプ大統領 高い代償を払うことに?

John Minchillo / AP Photo

 オハイオ州第12区で8月7日、パット・ティベリ下院議員が辞任したことによる下院特別選挙が開催される。ティベリ議員は同州コロンバスにあるビジネス系団体「オハイオ・ビジネス・ラウンドテーブル」のCEOに就任するため今年1月16日付けで議員職を辞任した。

◆共和党支持地区で民主党候補が僅差に迫る
 オハイオ州は「スイング・ステート(Swing State)」と呼ばれる選挙激戦区で、2012年大統領選ではオバマ前大統領、2016年大統領選ではトランプ大統領が勝利を収めている。今回特別選挙が行われる12選挙区は伝統的に共和党支持が厚い地区だ。

                                                                                                                 

 しかし、トランプ大統領のロシア共謀疑惑捜査と不人気な政策の数々、そしてそれに伴う支持率低下が進むなかで、今回の選挙では民主党候補のダニー・オコナー氏が意外な大健闘を見せている。米政治情報サイト『RealClearPolitics』によると、6月には9~11ポイントの差で共和党候補トロイ・ボルダーセン氏がリードしていたにもかかわらず、7月26~31日の調査ではその差が1ポイントまで迫っており、現在はほぼ差がなくなっていると見られる。

◆オハイオ州知事「接戦はトランプ氏のせい」
 そんななか、トランプ大統領は4日オハイオ州に向かい、ボルダーセン氏のための応援ラリーを行った。しかし、同大統領は同日、同州訪問前にツイッターで、オハイオ州出身のNBA選手で地元で特に人気が高いレブロン・ジェームズ選手を攻撃。

「レブロン・ジェームズがテレビ上で最もばかな男ドン・レモンにインタビューされた。決して簡単なことではないが、彼(レモン氏)はレブロンを知性的に見せていた。私はマイク(マイケル・ジョーダンのことと思われる)が好きだ!」と投稿。セレブや他のスポーツ選手、政治家、ニュースキャスターなどから非難の嵐を浴びる結果となった。

 そんな状況を受け、8月5日付USA トゥデイ(電子版)によると、同州のジョン・ケーシック知事(共和党)は、「トランプ大統領は郊外に住む女性やミレニアル世代に人気がない」と述べ、同大統領のせいで共和党候補が苦戦していると指摘。「本来はスラムダンクでボルダーセン氏が勝つべき選挙が、(トランプ氏のせいで)驚くほど接戦になっている」と苦言を呈した。

 ケーシック州知事は共和党員のなかでもいまだ「反トランプ」を貫く珍しい人物であり、地元では人気が高い。そのケーシック知事が、トランプ大統領のレブロン攻撃と、そのすぐ後の同州来訪を面白く思っているはずがない。トランプ氏のツイッター発言で、オハイオ州における共和党の人気がさらに低下したとしても不思議はないからだ。

 8月5日付のCNN(電子版)の報道によると、ボルダーセン氏は票の86%をトランプ大統領支持者から受ける一方、オコナー氏は93%をトランプ大統領の不支持者から得ているという。つまり、トランプ人気が下がるにつれ、共和党候補当選のチャンスも比例して下がるのである。

◆特別選挙結果は総選挙結果予測の鍵
 同記事では、「特別選挙の結果は、総選挙の結果を予測する手がかりとなる」と記している。実際、これまで共和党支持層の厚いアラバマ州の上院特別選挙や、ペンシルバニア州第18区の下院特別選挙でも民主党が勝利を収めている。

 同じく共和党支持者の多いオハイオ州第12選挙区特別選挙で、もしオコナー氏が勝利を収めれば、11月の総選挙で「ブルー・ウェーブ(Blue Wave、民主党の大勝利)」に繋がっていくことは想像に固くない。しかし勝ち負けにかかわらず、スイング・ステートにおける共和党支持基盤弱体化の事実に変わりはないと言えそうだ。

Text by 相馬佳