トランプ大統領、「ドリーマー」の将来を壁の人質に 迫るDACA失効

Christopher Penler / Shutterstock.com

◆新DACA法案承認は「国境の壁建設が条件」
 DACAはあくまでオバマ前大統領による仮の措置だ。子どもの時にアメリカに来たドリーマーたちには選択肢はなかったといえ、彼らは今もあくまで「不法滞在している外国人」だ。今後、膨大な数のドリーマーたちが正式に米国永住権(グリーンカード)または市民権を取得できるようにする正式な法の制定は急務である。

 これまでトランプ大統領はツイッターの投稿通り、ドリーマーが正式にアメリカ国民となることに抵抗はないと思われる発言をしている。政治・情報サイト『ヴォックス』の1月28日付の記事によると、トランプ氏はDACAに登録したドリーマーたちに「心配することはないと伝えてくれ」と発言し、もし議会が3月5日までにDACAの代替法案を通過できない場合でも「(締め切りの延期を)するかもしれない」と述べている。しかしNBCニュースの1月4日付報道によると、トランプ氏はその一方で「DACA法案成立は(メキシコ国境の)壁建設が条件だ」とも主張している。

 しかし、トランプ氏の移民政策に大きな影響力を持つというスティーブン・ミラー米大統領補佐官は極右的な反移民主義を持つといわれ、彼はドリーマーが今後正式にアメリカに在住するというアイデア自体が気に食わないようだ。1月10日付のニューズウィーク(電子版)の記事によると、共和党はDACAの新法案が成立しない理由が「移民政策について何も決められないのは彼(スティーブン・ミラー氏が)が障害となっているからだ」発言している。

 3月5日のDACA失効までにすでに1ヶ月を切った。ひとたび失効日を過ぎれば、ドリーマーたちが国外退去となる可能性も捨て切れず、またトランプ氏はさらに強気な姿勢に出るだろう。今後、DACAを「人質」にメキシコ国境の壁建設を交渉したいトランプ氏と議会の攻防、そして新しいDACA法案の内容に注目したい。

Text by 川島 実佳