「愛国心でなくナショナリズム招く」軍事パレード計画、米国内から一斉に拒否反応

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 トランプ大統領が軍事パレードの検討を水面下で指示していたことがわかった。アメリカ軍の武力誇示が目的と見られるこの計画に対し、民主主義を重んじるアメリカの精神を逸脱するほか、北朝鮮のテポドンの披露やソ連時代の赤の広場の行進を想起するとして、議員や退役軍人らを中心に各方面から批判が噴出している。

◆パリ由来の極秘計画
 パレード計画はトランプ氏の指示のもと、極秘事項として国防総省内で検討が進められていた。ワシントン・ポスト紙(2月6日)によると、同紙が計画の存在を報じたことを受け、ホワイトハウスのサンダース報道官が正式にこれを認めた。危険を冒して国の安全に貢献している軍人に米国民が感謝する機会を設ける趣旨だとサンダース氏は説明している。記事によると、5月28日の戦没将兵追悼記念日など複数の候補があがっており、場所についてトランプ氏は、ホワイトハウスと国会議事堂を結ぶペンシルバニア大通りを希望している。

 同紙は、フランスで昨年7月に行われたパリ祭がきっかけだとしている。兵士、戦車、戦闘機などが華々しく登場する祭典を目にしたトランプ氏は、帰りのエアフォース・ワン機内で心酔した様子を見せた。ペンタゴンに対し「フランスのようなパレードが欲しい」という指示を極秘で出したとされる。

 ニューヨーク・タイムズ紙(2月8日)は、実はパレード案は大統領就任前後から検討されてきたと報じる。就任演説の際に軍事パレードの開催を希望したトランプ氏だが、式典を担当する委員会による検討の結果、あえなく廃案になった。パリ祭の観覧で再び火がついたトランプ氏は、9月の国連総会の際にフランスのマクロン大統領に対し、アメリカ版を実施する意向を伝えていた。

Text by 青葉やまと