日本の“海軍力”はアジア最強 海外メディアが評価する海自の実力とは

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◆防衛装備の海外移転で強化される防衛力
 我々日本人の多くは、自衛隊の装備はかつての「武器輸出三原則」の制約などにより割高だという認識を持っている。しかし、ビジネス・スタンダード紙は、自国との比較において逆の見方をする。「川崎重工、三菱重工といった巨大企業を擁する日本の洗練された造船産業は、軍艦を迅速に安く作ることができる。そうりゅう型潜水艦は6億8500万ドルだが、これは半分以下のサイズのインドのスコルペヌ型潜水艦とほぼ同コストだ。排水量690トンのあわじ型掃海艦もたった1億6000万ドルで作っている」などと書く。

 日米の連携強化も、中国にじわりとプレッシャーを与えていると各メディアは分析する。「いずも」と「デューイ」の共同訓練は、デューイが中国の南シナ海での動きを牽制する「航行の自由作戦」に従事している艦なだけに、中国のみならずアメリカや周辺諸国の注目も集めた。日本側は「いずも」は航行の自由作戦には参加しておらず、あくまで一般的な編隊・通信の確認だったと説明しているが、ニール氏は、こうした日米の動きを中国は「アメリカによる地域支配の準備をカモフラージュするものだと見ている」と指摘する。また、ニール氏らアナリストは、武器輸出三原則の緩和により、インド、オーストラリアといったアジア太平洋地域の同盟国に高性能な日本製装備が行き渡ることも、広く日本の防衛力強化に貢献すると見ている。

 こうした論調を俯瞰すると、アジア太平洋地域の覇権をアメリカから奪おうと目論む中国にとって、日本の“海軍力”が目の上のたんこぶになりつつあるのだと思えてくる。それが地域の安定にどのように影響していくのか、気になるところだ。

Text by 内村 浩介