“米国はもう日韓を放っておけば?” 冷え込む両国には脅しが必要、と専門家

 日韓関係の悪化にアメリカが頭を悩ませている。日韓通貨スワップ協定の終了が発表された16日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、日韓の緊張の高まりで、中国や北朝鮮の脅威に対抗するための要である、両同盟国の協力関係が損なわれるのではないかと米政府が不安に思っている、とする記事を掲載した。

◆中国と接近する韓国
 「韓国政府の慰安婦に関する謝罪要求が地域の安全保障関係を複雑にする」と副題の付いた当記事は、朴槿恵大統領について、日韓の国交を正常化した父、朴正煕大統領に対する批判を多く目にしてきた経験から、日本に対して強硬に出ることによって、父と違いを出そうとしていると指摘する。

 同紙は、朴槿恵大統領が中国との関係を強めているとして、昨年7月、韓国を訪問した中国の習近平国家主席が、戦後70年を祝う行事を中国と韓国で共同開催することを提案していることに言及。

 アメリカと日本との防衛協力関係から、中国が韓国を引き離して抱え込もうとしているとの見方を韓国政府関係者が否定しているが、状況は複雑だ、と同紙は指摘する。例えば、韓国は、中国が嫌う日米のミサイル防衛網に加わることに同調していないことなどを挙げる。

◆関係改善にはショック療法が必要?
 アメリカ政府は、日本と韓国の間で軍事情報を共有するよう促す動きを強めている。日本と直接繋がることへの韓国の抵抗を回避するため、アメリカが仲介役となることに合意しているという。

 さらに、WSJは一部の専門家らの、日韓の関係改善にはショック療法が必要なのでは、との真逆の意見を紹介している。いっそのこと、アメリカが両国に対し一切の取りなしを止めてしまうぞと脅してみればというのだ。

◆スワップ協定延長せず
 日韓の関係悪化の象徴として、各メディアは「通貨スワップ協定」の終了について報じている。両国政府は、16日、14年間続いていた協定を2月23日に終了することで合意した、と明らかにした。

 元々、この日韓通貨スワップ協定は、韓国の潜在的な外貨不足を助けることが目的だったが、最近では、その必要性はほとんどなくなっていた。現在、韓国の外貨準備高は3620億ドル(約42兆9000億円)まで積み上がっており、また中国などとの通貨スワップ協定を結んでいることもあり、100億ドル規模のスワップ契約の延長は必要ないとの見方だ。

◆関係悪化が打ち切りの真の理由とも
 財務省は「両国の金融情勢・経済情勢から判断した」と協定終了の理由を述べ、韓国企画財政省幹部は「経済指標が良好であり、延長しなくても特別な悪影響はない」と説明しているが、関係悪化が原因と見るメディアの指摘も多い。

 朝鮮日報は、「両国が通貨スワップ協定の終了に合意したのは、日本軍の従軍慰安婦問題などで極右傾向を示している安倍晋三首相の発言などにより、韓日関係が行き詰まったことの影響とみられる」と報じる。

 また、読売新聞は、「(出国禁止になっている)産経新聞前ソウル支局長の問題など日韓関係がこじれていることもあり、日本政府として延長を断った」との日本政府関係者の発言を報じた。

Text by NewSphere 編集部