“戦争できる国に一歩前進” 中韓メディア、安倍首相圧勝で警戒感強める

安倍晋三

 14日に行われた衆議院選挙では、自民党が圧勝。公明党との連立与党では、衆議院での絶対安定多数を確保した。中韓のメディアはそれを伝えるとともに、真っ先に安倍首相の改憲への意志を伝えて警戒を示した。特に韓国のメディアは、日本が「戦争のできる国」として変貌しているとして、強い懸念を表している。

◆長期執権体制で改憲を目指すと見る中央日報
 韓国の中央日報は、今回の選挙結果を受けて、自民党の圧勝は「2020安倍長期執権体制」、つまり2020年まで続く長期執権体制への確立の第一歩と見ている。そして、その目的は、何よりも安倍首相の祖父の代からの悲願である「憲法改正」と指摘。

 第1段階として、日本最大の右翼団体「日本会議」を用いて国民世論を改憲賛成に形作り、第2段階では、2016年夏の参議院選での圧勝。第3段階で、参議院選後に国民投票を行い改憲へ、ということだが、国民投票は、大衆的な人気のある小泉進次郎氏の手に委ねることで、勝利を確実にさせる可能性もある、という分析も示した。

 今回の選挙で「日本は『安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のための』国家に進む展望」だとして、安倍首相に強い権限が与えられたことを懸念。その強い権限を用いて、一歩一歩着実に改憲へ押し進むだろうと強い警戒を示している。

◆外交・安全保障面での警戒を促す朝鮮日報
 また、韓国の最大発行部数を持つ朝鮮日報は、「外交・安全保障面でも『日本の再誕生』を前提にこれまで以上に綿密な戦略を練るべきだ」として、改憲へ向かう安倍首相の動きに牽制を促す論調を示した。

 安倍首相のこれまでの2年間は、「日本を『戦争のできる国』に生まれ変わらせること」への注力だったとして、憲法解釈による集団的自衛権の行使容認への決定、アメリカとの「米日防衛協力のための指針」の改定、武器輸出禁止の緩和を挙げた。

 今回の自民党の圧勝で、日本の国民が日本の再武装路線を進める安倍氏を支持する意向を明確に示したとして、韓国もそのことを前提として、外交・安全保障面での戦略を考えるべきだとしている。

◆新華社通信も安倍氏の憲法改正への決意を報道
 中国の新華社通信も、安倍首相の「(憲法改正は)我が党にとって悲願で立党以来の目標だ」という言葉を引用して、首相の憲法改正への決意を伝えた。

 「自公連立政権が選挙を通じて約束したことをしっかり実行していきたい」という選挙勝利後の言葉とともに、憲法改正への計画に対する国民の理解を求めていく構えを伝え、安倍首相の憲法改正への強い意欲を強調して報じた。

 対象の三記事とも、アベノミクスや消費税増税の是非などのその他の政策には一切触れず、与党勢力が衆議院で3分の2を獲得したことで法案の再可決や憲法改正の発議が可能であること、そして安倍氏の言葉としては憲法改正への決意のみを取り上げることで、安倍氏の改憲へ動きへの警戒感を強く示した。

Text by NewSphere 編集部