“米国は世界唯一のグローバルパワーに” 米高官が自信 日本の軍事支援にも期待

 米国防省のロバート・ワーク副長官は9月30日、尖閣諸島をめぐる日中の対立についての質問を受け、対立が激しくなれば、アメリカは日本の軍事的要請に応じるだろう、と答えた。

【日米は軍事的に相互扶助の関係】
 アメリカ政府はこれまでも、1951年に書かれた日米安全保障条約第5条を引き合いに出し、日本側への支持を表明している。しかし今回の発言は、日本への軍事的援護の姿勢をより一層明確に示したものだ。

 ワーク氏は、「尖閣諸島は日本の管理下にあり、5条が適用される。そのため尖閣を略奪しようとの動きがあれば、アメリカはそれに対応する」「もちろん同盟国がいかなる危機に際しても必ずそれに応じるだろう」(米軍事専門紙『ディフェンス・ニュース』)

 同氏は、日本を「アジアにおける同盟の礎石だ」と呼んだ。

 1997年、日本外務省と米国防省は、有事にどう協力しあうか防衛協力の指針を作成した。そして2013年、日米政府は、さらに緊密な連携を図るため、これを見直すと発表。

 同紙によると、ワーク氏は、中国や北朝鮮との紛争発生の不安が日本に防衛方針を転換させることとなった、と述べた。日本は平和主義の国としての国際的地位は維持しながらも、軍事力を強化するため米軍との訓練を始めている。また、日本政府は、集団的自衛権行使を宣言した。つまり日本も他の同盟国が脅威に晒された場合、軍事的な支援に参加することができる、と軍事的連携を強調した。

【日本に軍配備の重点】
 米軍は最近、日本へ軍事力を注ぎ込んでいる、とディフェンス・ニュース紙は報じている。

 ワーク氏は、2020年までに、米海・空軍合わせて全体の6割にあたる10万人の兵士をアジア太平洋地域に配備する、としている。これはアメリカが「真に唯一のグローバル・パワーとなる策」であり、防衛費をいとわず拡大を続ける、と発言した。弾道ミサイル搭載の軍艦、海上巡回用航空機、ミサイル防衛レーダーの配備など、アジア地域の軍備を強化していく方針だ。

 また同氏は、沖縄県普天間の米軍基地移設は前進しており、日本に戦後初めてとなる新基地ができることになる、と述べた。「アジアでの米軍の展開を模索している。この地域は、地理的に分散していて、作戦上実効性が高く、政治的にも安定している。平和と繁栄を維持するという目的では世界で最も重要な地域だ」(米国防省HP)

 同氏は、太平洋地域で冷戦後最大規模となる計画が進行中だ、と説明した。韓国では100億ドル予算の施設完成後、基地移動。グアムでの5000人を収容する基地の新設。日本では普天間基地(沖縄県)移転。さらに岩国基地(山口県)が面する湾の埋め立てで港を大幅に整備。厚木基地(神奈川県)の海軍空母航空団などを移動させることが可能になる、としている(米国防省HP)。

【「日本は核武装もあり得る」】
 フォーブス誌では、日中に深い関わりを持ってきたスティーブン・ハーナー氏が、国防省トップの発言に危機感を示している。「中国の将来見通しに広がる暗雲は、破滅するほど浪費的で、危険なアメリカとの軍備競争だ」「アメリカの国民にとっても、政治上の論理、必要性や利益があるとは、思えない」とアメリカの対中国政策を批判した。

 元国防総省監査担当次官のドブ・ザクハイム氏は、アジア太平洋での米軍の展開には予算に制限があることをあげ、ワーク氏は「楽観的過ぎる」との見方を示した。しかし、日本との関係強化は、アメリカに大きな恩恵をもたらすだろうとも述べた。さらに日本が核武装する可能性にも言及している(ディフェンス・ニュース紙)。

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Text by NewSphere 編集部