安倍首相、チリ訪問 資源開発、災害対策などで協力強化へ 大統領も歓迎

 中南米5ヵ国を歴訪中の安倍晋三首相は7月31日、4番目の訪問国チリでミシェル・バチェレ大統領と会談した。会談では、鉱業から地震対策まで一連の取り決めを確認した。

 同首相はこのあと、ブラジルを訪問する。

【チリ、日本に猛アピール】
 バチェレ大統領は、長い海岸線を持つチリが、日本にとっての中南米地域の門口として役割を果たしたいと述べた。「チリは重要な相手国で、ラテンアメリカに入るための大きく開いた扉だということを示したい」(AFP)

 同大統領は、「両国の経済、貿易、多方面での関係は、順調であるという事実以上に、チリでの日本の存在はまた新しい方向に進展しているということを強調したい」と述べ、
日本は、チリの発展に寄与する科学と技術開発の分野において、国際的に重要な国であることを力説した(EFE)。

【被災の経験を共有】
 両国の首脳は、地震と津波の被災を軽減するための科学と技術の移譲にも合意。今後5年間で、災害の危険を減らすため中南米の専門家2000人の研修を行う合意書に署名した。

 日本もチリも、地震が発生しやすい地域だ。両国ともここ数年に深刻な被害を受けている。チリでは、2010年2月、マグニチュード8.8の地震が発生。この地震による津波で526人が死亡、3万人が家を失った。

 バチェレ大統領は、「(自然災害を)回避することは難しいが、知識を共有することで影響の軽減が期待される同様の経験によって両国は結びついている」と述べた。また、日本が持つ「良い実例と成功を収めた経験」から学ぶことが出来るとも期待している(EFE)。

【チリは世界有数の銅産出国】
 AFPによると、日本からチリへの投資の90%は銅鉱業関連だ。2011年、450万ドルだったとの数字を挙げている。

 安倍首相の訪問で形成された枠組みで、三井物産とチリ国営のコデルコは、銅資源の新しい使い道の開発、採掘のためのより効果的で持続可能な技術について協力することに合意した。

 また首相は31日、日本企業が100%出資して開発した「カセロネス銅山」の開所式に出席した。

【政策面での協力も確認】
 共同記者会見で、バチェレ大統領は、両首脳が「多くの事を話し合い、両国の関係がより緊密で多角的になるための合意をした」と述べた。安倍首相は、「チリは、民主主義や市場経済、人権など基本的な価値観を共有する非常に重要なパートナーだ」(上海日報)と政策面でも協力することを確認したとしている。

 NHKは、安倍首相が、中国の動きや北朝鮮による核・ミサイル開発を説明したうえで、集団的自衛権の行使容認を含む日本の外交安全保障政策に理解を求めたことを報じている。これに対し、バチェレ大統領は支持する考えを示した(NHK)。

 また同メディアは、環太平洋経済協定(TPP)交渉の早期妥結に向けて連携したことを大きく取り上げているが、AFPは中心となる話題ではなかったようだと報じている。

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Text by NewSphere 編集部