韓国紙、日本が“執拗な贈り物外交”を展開と揶揄 オバマ来日めぐり

 オバマ米大統領が、4月24日と25日に、国賓として日本を訪問することが決まった。菅官房長官が会見で語ったと各紙が伝えている。24日に安倍首相との首脳会談を行い、天皇・皇后両陛下主催の宮中晩餐会にも出席する。国賓として米大統領が日本を訪れるのは、1996年4月当時のクリントン大統領以来18年ぶりだ。

 到着は23日の予定だが、菅長官は「到着のタイミングは最終調整を行っている」としている。

 オバマ大統領は日本訪問の後、韓国、マレーシア、フィリピンなど、「アジアの枢軸」を訪問予定だ。

【韓国紙の揶揄】
 韓国の中央日報は、オバマ大統領の訪日について、当初は2日間の予定だったが、「日本の執拗な“贈り物”外交の賜物」で2泊3日の日程になった、と揶揄する。

 2013年12月、安倍首相の靖国参拝は、韓国からの強い反発だけでなく、アメリカ政府による「失望した」とこれまでにない否定的な声明を招いた。しかし、18年ぶりとなる米国大統領の国賓訪問を成功させるために、日本政府はこの2ヶ月間、総力外交を繰り広げたと同紙はみる。

 3月14日参議院の予算委員会では、安倍首相が日本の従軍慰安婦への謝罪を認めた「河野談話(1993年)」を見直さないと初めて明言。同月18日には、ロシアによるウクライナのクリミア半島併合に関してアメリカの立場を支持しロシアに制裁を課した。その直後、アメリカのリードで日米韓3国による首脳会談が決まった。

 さらに4月1日、安倍内閣は武器輸出三原則を47年ぶりに全面見直し、新たな「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。米国務省のマリー・ハーフ副報道官は2日、日本の決定を歓迎。韓国と中国が軍国主義への動きだと憂慮するなか、「賢明な一歩」だと評価した。

 大統領訪日中には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連でも譲歩を見せるのでは、と同紙はみている。

 なお産経新聞(2/5付)は、韓国政府が急遽オバマ大統領の訪韓を招請したことで、日本側が当初求めていた「2泊以上」の国賓待遇が危うくなったと報じているが、韓国紙はこれについてふれていない。

【韓国政府「慌てることはない」と】
 オバマ大統領が日本の滞在期間を延長した一方で韓国には1泊だけ滞在するということで、韓国国内からは「日本にやられた」という声も上がっている、と朝鮮日報が報じている。これに対し、韓国政府は韓米関係の本質とは無関係だとの見解を示しているようだ。

 韓国政府当局者は「オバマ大統領と朴大統領はすでに昨年5月に首脳会談を開き、今秋にもアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などがあり、会う機会が多い。短い期間の滞在でも十分な協議が可能だ。あえて日本と比べ2泊に固執する必要はない」と述べたという。

【米国大統領訪日の効果は?】
 日本インタビュ新聞社は、オバマ大統領の訪日によって、冷え込んでいる日中、日韓の関係が修復されるかどうかに注目している。また、経済面では、仮にTPPが決まれば、戦略特区構想具体化などと相まって日本経済にもマーケットにも大きい材料となるだろう、と予想している。

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Text by NewSphere 編集部