安倍首相、「北方領土の日」にソチ五輪開会式出席へ ロシアとの対話深まるか?

 ロシアのソチで、冬季オリンピックが2月7日から23日までの日程で開催される。

 開会式をめぐっては、オバマ米大統領は不参加の意向を示している。フィンランドのスポーツ大臣は、ロシアの人権問題を理由にボイコットすると明言した。

 一方、中国の習近平国家主席はロシア政府への支持を表明して、開会式に出席する予定だ。安倍首相も、当初は開会式出席を躊躇する姿勢をみせていたが、読売新聞の報道によると、参加する意向を固めたという。

【中国の姿勢】
 中国と日本の首脳が、ソチオリンピックの開会式で顔を合わせる可能性が出てきた。しかし中国政府は、一貫して「習近平国家主席は、安倍首相といかなる形の会合ももたない」と主張している。

 チャイナ・デイリーは、尖閣諸島問題や靖国神社参拝など、日本側が、中国国民および中国政府の懸念を無視した態度を改めなければ、話し合いの場を設けることは不可能だ、という識者のコメントを掲載している。

 一方で、中国外務次官は、「もし安倍首相と出くわすようなことがあった場合、主席は中国の立場をはっきりと説明する」とコメントし、言葉を交わす可能性も示唆した。

 中国政府は、日本への対応とは対照的に、習主席がロシアのプーチン大統領と会談すると発表。ロシアと対話を密に行い、関係強化する姿勢を示した。

 さらに、ソチオリンピックの安全性に関する質問に対し、「中国政府は、ロシアの安全対策は万全であり、オリンピックが成功すると確信している」というコメントを発表し、テロ活動を抑えきれていないプーチン大統領を擁護したという。

【海外メディアが分析する日本の姿勢】
 日本政府は、安倍首相と習近平国家主席の会合の有無に関して一切コメントを発表していない。しかし、チャイナ・デイリーは、「日本政府は、中国のリーダーとの対面を重要視している。たまたま顔を合わせて話をすることで、突破口が開けると考えている」という識者のコメントを掲載し、日本が対話を望んでいると分析している。

 一方、ロイターは、日本が中国との問題よりも、ロシアとの関係改善を優先させていると分析している。日本とロシアには、北方領土問題が存在するため、平和条約を締結できていない。これに対し、安倍首相は領土問題に積極的に取り組んでおり、昨年11月には両国の外相が東京で会し、領土問題を解決し平和条約締結にむけた次官級レベルの会合を行うことで合意している。

 オリンピック開会式は、「北方領土の日」でもあり、日本では領土返還を求めるイベントが行われる。安倍首相は開会式へ出席するとともに、オリンピック開催期間中にロシアとの対話を深める予定だという。

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Text by NewSphere 編集部