小泉元首相支援で“脱原発”細川氏が都知事候補最有力か? 原発政策の行方に海外も注目

 前東京都知事の猪瀬直樹氏が金銭問題で辞任したため、次の都知事を決める選挙が2月9日に行われる。選挙には、共産党と社民党が推薦する宇都宮健児氏、航空自衛隊の元航空幕僚長の田母神俊雄氏などが立候補を表明している。

 自民党東京都連は10日、これまで最有力候補として名が挙がっていた無所属の舛添元厚生労働大臣(65歳)を支援することを決めた。しかし14日午後、細川護熙元首相(76歳)が、小泉純一郎元首相の支持を受け出馬を表明したことで、選挙の混戦を海外各紙は予想している。

【原発政策が再び論議の中心に】
 今回の東京都知事選は、国のエネルギー政策をあらためて問う選挙となるだろう、とフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。細川氏は反原発の姿勢を明確にしており、同じく反原発を訴える小泉氏が党の枠組みを超えて同氏の支援に回ったことで、有権者の都知事選挙の争点への関心が強まっているとみている。

 同紙は、都知事選の原発政策への影響について、東京都が自治体として規模が大きく、また首都であるということだけではなく、福島原発事故基を管理する東京電力の大株主であることも指摘している。

【政府「エネルギー政策は国の仕事」】
 二人の元首相の反原発の動きは、安倍現首相と自民党にとって頭の痛い問題だ、とウォールストリート・ジャーナル紙は報じている。政府にとって今は、2013年7月に導入された新しい基準により現在停止中の原子炉の安全性が認められれば、操業を再開しようと準備をしている重要な時期だからだ。

 このため政府と与党は、都知事選の争点を社会保障と東京オリンピック準備に絞りたいようだ。しかし、細川氏の反原発の主張は、有権者の関心を強く引き世論を動かし国政に影響することになるだろう、と同紙は予想している。

 甘利明経済再生担当大臣は10日、「エネルギー政策は、国が取り仕切る問題だ。全ての国民の利益を念頭に置く必要がある」と、細川氏を牽制する発言をした。また、細川氏の貴族的な生活や特権階級の血筋を冷やかすかのように、同氏の出馬は「殿ご乱心」だと揶揄した。

 菅義偉内閣官房庁長官は10日、東京都知事選の争点について、「もちろん東京都民の関心事によるが、多くの人々はオリンピックと高齢化の進む中での社会保障に関心があるものと考えている」と話した。そして都知事選挙が国のエネルギー政策に影響するのではという見方を否定した。さらに安倍首相もエネルギー問題は国政課題だとの認識を示している。

【人気の高い元首相ふたりの強力タッグ】
 小泉氏が自民党の擁立候補に対抗する細川氏を支持することは、自身の政治的に安定した立場を揺るがすことになる、所属政党へのあからさまな反乱だ、フィナンシャル・タイムズ紙は報じている。そして各紙とも、その影響力の大きさに注目している。

 専門家は「ふたりの元首相が選挙カーの上にともに立つ絵面は、非常に魅力的だと思う」「都知事選は結果が見えない混戦になるだろう」と予想している。また、「細川氏が小泉氏と組めば、選挙に勝算する見込みは十分にある。人気の高いふたりの元首相による原発依存脱却の訴えは強力だろう」との意見をウォールストリート・ジャーナル紙が取り上げている。

内訟録―細川護熙総理大臣日記

Text by NewSphere 編集部