初の日露外交・防衛トップ会談 しかし海外紙は温度差を指摘

 日本とロシアは1日、初の外相・防衛相会談を東京で行い、安全保障協力の強化に合意した。日本は岸田外相と小野寺防衛相、ロシアはラブロフ外相とショイグ国防相が出席している。

 日本がこのような「2プラス2」会談を行うのは米・豪に次いでまだ3ヶ国目、ロシアは英・米・仏・伊に次いで5ヶ国目である。

【合同対テロ軍事演習も】
 今回の合意には、テロ・海賊対策を目的とした海上軍事演習の実施が含まれる。合同演習は1998年以降すでに行われているが、捜索救助活動のみが目的であった。さらに、サイバーセキュリティに関する協議会の立ち上げや、防衛大臣の定期的な相互訪問も合意された。

 また、日露両国は第二次世界大戦の和平条約をいまだに正式締結していないが、来年1月にも条約交渉を進めることが合意された。

 安倍政権発足以来、安倍首相とプーチン露大統領は4度にわたって会談を行っており、4月には北方領土問題協議の復活と、来年の次官レベル会議の開催が合意されていた。次回の「2プラス2」会談は、来年初め、モスクワでの開催が提案されているようだ。

【「スムーズな道のりではない」】
 しかし「日露間の良好な関係への道のりは全くスムーズとはいかないだろう」と、フィナンシャル・タイムズ紙は評している。日本は米国の緊密な軍事同盟国でもあり続けるのに、米露間はシリア内戦からスノーデン氏亡命問題まで、様々な点で対立が目立っているからだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ロシア側は見返りとして、日本からの投資拡大を期待していると指摘した。

 また各紙は、日露接近の理由として中国への警戒を挙げている。ただし同紙によると、これについては日露間に温度差があるようだ。小野寺防衛相が会談で日中関係を話題にしたが、ロシア側からのコメントはなかったという。ラブロフ露外相は、集団的自衛権容認など、平和への「積極的貢献」についての日本の狙いを理解している、とは声明した。

 RTTニュースによると、中国の反応は「慎重」だ。中国外務部は「関係国間の協力が地域の平和と安定に資することができることを願っています」とだけ述べたという。北京師範大学の専門家は「中露間の共通の関心事項は日露間のものの数を上回る」ため、細心の注意を払うべきではあるが、過剰解釈する必要はないと語った。

Text by NewSphere 編集部