海外紙は日中の安全保障・軍事政策をどう報じたか?
尖閣諸島の領有権をめぐり、昨年より日中関係の緊張が高まる中、海外紙は両国の安全保障・軍事政策について焦点を当てた報道が見られる。
まず安倍首相は、尖閣諸島領域において活発化する中国の動きに対する警戒・監視態勢を強化するため、前民主党政権が改定した「防衛計画の大網」を見直し、「中期防(中期防衛力整備計画)」を廃止する方針だ。現在の大綱は、陸上自衛官の定員減などが盛り込まれていたが、今後は予算を増額し、自衛隊の増員や早期警戒機・潜水艦など装備の向上、米国の新型輸送機オスプレイの安全性に関する研究などを行なっていくという。2013年度の防衛予算は4兆7700億円を要求し、これは11年ぶりの増額となる。なおニューヨーク・タイムズ紙によると、オスプレイは墜落事故の多発から国内配備に反対する声は根強いが、自衛隊のヘリコプターより航続距離や速度、積載量で優れているため、防衛に積極的に活用したい考えだと報じられている。
また、安倍氏はこうした安全保障戦略の見直しで、アジア地域における影響力の強化とともに、同盟国米国との関係強化を図っているとも報じられている。具体的には、ガーディアン紙は、日本が米国から無人高高度偵察機グローバル・ホークを購入する準備を進めていると報じた。2015年までに1〜3機の導入が計画されている。日本は昨年12月、中国の航空機が尖閣諸島付近の領空を侵犯したことをすぐには察知できなかったことから、監視能力の向上が必要とされているとも指摘した。
ガーディアン紙によると、中国は独自に無人機の開発を行い、テスト飛行させて攻撃機能などを試す方針を明らかにしている。これは米国の無人機X-47B機を真似たものだとも噂されており、米軍が最大規模の施設の配置を計画しているグアムまで飛行できる可能性もあるという。ただ、人民解放軍の実態は不透明な点が多く、無人機に関する詳細も明らかにされていない。昨年11月の航空ショーでは新モデル8機を発表したが、配布された航空機の写真は地上に駐機された状態のものばかりであり、実際の飛行能力は不明のようだ。
なお日本は10年以上にわたって防衛予算を削減してきたものの、2012年は4兆6500億円で世界6位だった。一方、中国は同年6,702億元(約8兆7000億円)で世界2位となっている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、東アジアの2大ライバルである日中間の緊張が高まる可能性もある動きだと懸念している。