オバマVSロムニー 直接対決の結果は?

オバマ VS ロムニー 10月3日(日本時間10月4日10時)、1回目の大統領選直接討論会がコロラド州デンバー大学で開かれた。今回の議題は主に国内政策についてで、経済が中心。
 討論会前は、失言騒動によりロムニーが苦戦、オバマが支持率で一歩リードしていた。ただロムニーの討論時の雄弁さは有名であり、対してオバマはブランクが長く不利と評価されていた。
 ロムニーは劣勢を覆せたのか?それともオバマがリードを守ったのか?

1.評価
 CNNの世論調査によると、「討論会でどちらの候補が勝ったと思うか」という質問に対して、オバマと答えた人は25%、ロムニーと答えた人は67%だった。
 FTは、視覚的な印象についてはロムニーに軍配を上げている。オバマは、ロムニーの発言中メモのため下を向いていたり、回りくどい言い方をしたり、しかめっ面をみせる場面があったと報じた。一方ロムニーは、歯切れがよく、主張のポイントが聞きやすく、言葉も慎重に非難されない丁寧な単語を選んでいる様子だったと評価した。
 オバマ支持者は、ロムニーの失言について攻撃しなかったことに不満を覚えている意見もある。FTは、オバマが強調できる成果を任期中に挙げられなかっため精彩を欠いたと指摘する声を取り上げた。
 ロムニー支持者は今回の討論会で、巻き返しの明るい兆しが見えてきたことに喜んでいる様子だと報じられている。
 なお、基本的には両候補とも冷静を保っており、思わぬ名言や失言はなかった。

2.討論のポイントと政策の違い
 経済の回復と財政赤字の軽減という大目標は一致しているといえる。そこに至る方法はかなり異なる。討論会でも、そのための施策、特に税制改革に焦点が当てられた。

<税制>
 オバマは、低所得者層にはブッシュ減税を継続、富裕層には増税を主張し、財政赤字削減に焦点を当てた。ロムニーは、競争力強化のため、富裕層の所得税引き下げ、法人税減税を主張した。
 オバマは、ロムニー案が5兆ドル(約400兆円)もの減税だと指摘。その穴埋めとして主張する社会保障の見直しなどで歳出を減らすことは難しく、明確な数字もないと批判した。ロムニーは5兆ドルという数字を否定。過去4年間、オバマ大統領の経済・財政政策は成功していないと批判した。

<産業・雇用>
 オバマは、教育・技術開発に投資して長期的成長を達成すると主張。ロムニーは、減税と規制緩和による民間の競争力強化を説いた。
 ロムニーは、オバマの金融機関規制強化策を非難した。規制緩和によりビジネスの成長を促進し、減税も合わせ、中小企業を中心に雇用を増加させると主張した。一方オバマは連邦レベルから事業支援をしていく姿勢だ。なお教育やエネルギー問題については違いがなく、大きく扱われなかった。

<社会保障>
 オバマは、医療保険制度改革(オバマケア)の実績を強調し、国民の健康な生活のために連邦政府のかかわりは不可欠と考えている。ロムニーは、オバマケアの白紙化を主張している。自身が州知事時代に行った医療保険制度改革に近い内容だが、連邦レベルではなく州レベルで対処すべきだという観点から批判している。

 白熱した討論会で、司会者のジム・レーラーも舵取りが大変だったようだと指摘された。ちなみにレーラーは公共放送PBSの司会者である。ロムニーがPBSの予算削減に触れた際、「ビッグバードは好きなんだけどね」とジョークを飛ばした(ビッグバードはPBSの人気番組セサミストリートのキャラクター)。このため「ビックバード」を使ったソーシャルメディアへの投稿が急増したと報じられた。

 なお、直接討論会は後2回予定されている。次の討論会は10月16日(日本時間10月17日)に行われ、議題は内政と外交である。

Text by NewSphere 編集部