オスカー・ワイルド|自分らしさを貫いた耽美主義文学の旗手
オスカー・ワイルドはアイルランド出身の詩人・作家・劇作家である。「自分らしくあれ。ほかの人の席はすでに埋まっているのだから」などの名言で知られ、生涯にわたり自分らしさを大切にした。多彩な文筆活動を行い、19世紀末文学の旗手と語られる。しかし、同性愛を咎められて収監され出獄後、失意から回復しないまま没した。
代表作には、『ドリアン・グレイの肖像』『サロメ』『幸福な王子』『カンタヴィルの亡霊』などがある。
目次
オスカー・ワイルドのプロフィール
名前 | オスカー・フィンガル・オフラハティ・ウィルス・ワイルド (Oscar Fingal O’Flahertie Wills Wilde) |
生年月日 | 1854年10月16日 |
出身地 | アイルランド・ダブリン |
没年月日 | 1900年11月30日(享年46歳) |
死没地 | フランス・パリ |
職業 | 詩人・作家・劇作家 |
活動期間 | 1878年 – 1899年 |
デビュー作 | 『ラヴェンナ』 |
代表作 | 『ドリアン・グレイの肖像』『サロメ』『幸福な王子』 |
オスカー・ワイルドは、著作にみられる美しい独特の筆致から「耽美主義(美を最高の価値と考え、その創造を人生の唯一の目的とすること)文学の旗手」と言われる。現在に至るまで、多くの文豪に影響を与えている。
オスカー・ワイルドの人生
オスカー・ワイルドは、アイルランド、ダブリンの古いプロテスタント家系の出身である。父母とも文才に富み、母のジェーンは詩人でサロンも主宰していた。幼少期は、娘が欲しかった母親に女児として育てられている。
オスカー・ワイルドは幼い頃から優秀だったため、給費生の資格を与えられて大学進学を果たす。在学中はヘレニズムとカトリシズムに影響を受け、博愛と平等精神に傾倒した。また、自分が美しいと思うものを追求する姿勢(=耽美主義)を貫き通し、相手が同性でも同じだった。
1895年、同性愛を咎められたオスカー・ワイルドは、裁判に敗訴し収監される。彼は詩人・作家・劇作家として活躍したが、出獄後の世間の風は冷たく、1900年に梅毒による脳髄膜炎で亡くなった。46歳という若さである。
心に響くオスカー・ワイルドの名言10選|英訳と和訳付き
オスカー・ワイルドの名言10選を、英訳と和訳で付きで紹介する。美しさと自分らしさを追求し続けた彼の渾身の言葉から、心に響く何かを感じ取れれば幸いだ。
Be yourself; everyone else is already taken.
訳:自分らしくあれ。ほかの人の席はすでに埋まっているのだから。
他人の真似をすることで、自分も同じようになれると思ってしまう。しかし、自分は他人とは違うし、埋まっている席に座るのは大変なこと。自分らしくあれば、すでに自分の席に座れているのだ。
The optimist sees the doughnut, the pessimist sees the hole.
訳:楽観主義者はドーナツを見、悲観主義者はドーナツの穴を見る。
手元を見て喜びを得る人と、ないものに焦点を当てて悲しむ人。どう捉えるかは人によって、あるいは状況によって異なる。あなたはどちらだろう?
A gentleman is one who never hurts anyone’s feelings unintentionally.
訳:紳士とは、人の気持ちを何気なく傷つけることがない人のことである。
何気ない気遣いを当たり前にできる。そんな人が、紳士と呼ばれるにふさわしいのだろう。
Bad artists always admire each other’s work.
訳:腕の悪い芸術家は互いの作品を誉めあう。
よいところだけでなく、悪いところにも気づいて目を向けられること。それは、自分の作品にも活きるものだ。
Children begin by loving their parents. After a time they judge them. Rarely, if ever, do they forgive them.
訳:子供は最初は親を愛するが、やがて親を裁くようになる。許すことはまずめったにない。
子どもは成長すると、親のよい点・悪い点を判断するようになる。親離れの証でもある。
Discontent is the first step in progress of a man, of a nation.
訳:不満は人間ないしは国家の進歩における第一歩である。
不満がなければ変化はなく、変化がなければ進歩もない。不満はすべてにおける第一歩である。
Education is an admirable thing, but it is well to remember from time to time that nothing that is worth knowing can be taught.
訳:教育は結構なものである。しかしいつも忘れてはならない。知る価値のあるものは、すべて教えられないものだということを。
本当に大切なことは、学校では教わらない。さらに言えば、教わらないようなことこそ、本当に知る価値がある。
Fashion is a form of ugliness so intolerable that we have to alter it every six months.
訳:流行とはひとつの醜さの形であり、とても人を疲れさせるので、6ヵ月ごとに変える必要がある。
流行はどこからともなく現れ、風のように過ぎ去る。追いかけ続けるのは大変であり、流行がとても優れているとは限らないのだ。
I adore simple pleasures. They are the last refuge of the complex.
訳:私は単純な楽しみごとが好きだ。それらは複雑な人間にとって最後の避難所である。
生きていればいろいろなことがあり、疲れてしまうこともある。そんな時はあれこれ考えず、シンプルに楽しめることに没頭しよう。
Life is far too important a thing ever to talk seriously about.
訳:人生はあまりにも重要すぎて、真剣にその話をすることさえままならない。
さまざまな人生があり、重要ではない人生などない。言葉でまとめられるほど、単純で短くはないのだ。
オスカー・ワイルドの世界が楽しめるおすすめの本3選
文豪・オスカー・ワイルドの世界を楽しめる、おすすめの本を3冊紹介する。耽美主義文学の旗手が放つ名作を、ぜひ味わってみてほしい。
ドリアン・グレイの肖像
出典:Amazon
出版社:新潮社
発売年:1962年
美貌の青年モデル・ドリアン・グレイは、快楽主義者で、堕落と悪行の末に破滅する。『ドリアン・グレイの肖像』は美青年とその画像が奏でる、耽美と異端の二重生活ストーリーだ。
幸福な王子 ワイルド童話全集
出店:Amazon
出版社:新潮社
発売年:1968年
王子の像が、自らの目の宝石や体の黄金などを貧しい人々に分け与える『幸福な王子』。他にもオスカー・ワイルドが美しい文章で綴った、献身的な人間愛と社会への諷刺にあふれる童話全9編が収録された1冊である。
サロメ
出展:Amazon
出版社:光文社
発売年:2012年
『サロメ』は、ユダヤの王女・サロメの無垢で残酷な激情と恋の悲劇を、鮮烈かつ幻想的に描いたオスカー・ワイルドの最高傑作である。
オスカー・ワイルドのように自分らしさをいつも大切にしよう
詩人・作家・劇作家として成功をおさめたオスカー・ワイルド。生涯にわたり自分らしさを貫いたことは、彼が同性愛者であったことからも明らかだ。日常・もの・人…さまざまなことに「美」を見出していたオスカー・ワイルドは、ウィットとユニークさも兼ね備えていた。私たちも彼に見習うところがあるだろう。
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