ナイチンゲールの名言集 短いながら心に響く「クリミアの天使」の言葉
現代看護と看護教育の基礎を築いたナイチンゲールは、戦場で多くの命を救っただけでなく数多くの著書を残している。その中には看護や看病の分野にとどまらず、現代を生きる我々の心に響く名言も多い。
ナイチンゲールの名言から厳選した20の言葉を、彼女の人物像、生涯とあわせて紹介する。
目次
ナイチンゲールの生涯と人物像
ナイチンゲールのプロフィール | |
名前 | フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale) |
出身地 | イギリス |
出生地 | トスカーナ大公国フィレンツェ(現イタリア) |
生年月日 | 1820年5月12日 |
没年月日 | 1910年8月13日(90歳没) |
主な職業 | 看護婦/統計学者 |
主な業績 | 近代看護教育/近代医療・看護の統計学 |
ナイチンゲールは地方の裕福な家庭で生まれた。幼い頃から複数の言語や哲学、数学のほか芸術分野まで幅広い教育を受けてきたが、慈善訪問をするうち奉仕活動に興味を持ったという。
1854年、クリミア戦争で看護婦として従軍した彼女が目の当たりにしたのは、兵舎病院の悲惨なまでの不衛生な状況だった。衛生状態を改善させると、負傷兵の死亡率は劇的に減少。彼女の献身的な姿は「クリミアの天使」と呼ばれるようになる。そのときの経験を次のような言葉で語っている。
私は地獄を見た。私は決してクリミアを忘れない。
I saw hell. I will never forget Crimea.
イギリスに戻ってからは、病院の報告書からさまざまな統計を割り出し、統計学者として大きな業績を残している。看護学校の創設、病院建築の考案など医療看護分野にも貢献し、90歳の時自宅で息を引き取った。
ナイチンゲールの名言20選|現代を生きる人にも役立つ言葉
ナイチンゲールが残した数々の名言を、彼女の大きな功績でもある看護の分野、そして仕事、人生、行動・思考と4つのカテゴリにわけて5つずつ紹介する。
英語での表記もあわせて紹介するので、自分なりの解釈で読み解いてみるのもよいだろう。
ナイチンゲールの名言1「看護師としての心得」
「近代看護教育の母」として、現代でも看護師たちを支える看護分野の名言を紹介する。家族の看病や介護といった場面でも役に立つだろう。
看護は犠牲行為であってはなりません。人生最高の喜びのひとつであるべきです。
Nursing should not be a sacrifice, but one of the highest delights of life.
彼女はボランティアだけの看護・救助は長続きしないと考えていた。犠牲心によって看護をするのではなく、自分からやりたくてやっている。そう思えることが大切だ。
看護とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさを適切に保ち、食事を適切に選択し管理すること、こういったことのすべてを、患者の生命力の消耗を最小にするように整えることを意味すべきである。
Nursing ought to signify the proper use of fresh air, light, warmth, cleanliness, quiet, and the proper selection and administration of diet – all at the least expense of the patient.
衛生状態を徹底して改善することで負傷兵の死亡率を下げた彼女らしい、シンプルな看護方針だ。基本を忘れないようにしよう。
看護師は自分の仕事に三重の関心を持たなければならない。ひとつはその症例に対する理性的な関心、そして病人に対する(もっと強い)心のこもった関心、もうひとつは病人の世話と治療についての技術的(実践的)関心である。
She [The nurse] must have a threefold interest in her work: an intellectual interest in the case, a (much higher) hearty interest in the patient, a technical (practical) interest in the patient’s care and cure.
彼女は専門知識を持つ看護師の重要性を訴え、現在の看護学校の基礎を築いた。常に関心を持つことで、仕事に対して前向きになれるだろう。
看護師は、病人を看護師のために存在するとみなしてはならない。看護師が病人のために存在すると考えなければならない。
She [The nurse] must not look upon patients as made for nurses, but upon nurses as made for patients.
病人がいるから看護師が成り立つのではなく、看護師が病人に必要とされていると考えたい。
子を失う親のような気持ちで、患者に接することのできない、そのような共感性のない人がいるとしたら、今すぐこの場から去りなさい。
When the person who doesn’t have such sympathy which can’t touch a patient has by feeling like the parent who loses a child, leave this place right now.
看護師は職業ではあるが、奉仕と共感の気持ちも忘れてはならない。親が子をなんとしても守ろうとするように、強い気持ちを持って患者に接する。これがナイチンゲールが考える看護師の基本といえる。
ナイチンゲールの名言2「仕事への取り組み」
ナイチンゲールが残した言葉は看護以外にも、さまざまな分野の仕事に繋がるものもある。この項目では仕事のモチベーションが上がる名言を紹介しよう。
天使とは、花をまきちらしながら歩く者ではなく、人を健康へと導くために、人が忌み嫌う仕事を、感謝されることなくやりこなす者である。
The Angels are not they who go about scattering flowers: The Angels are they who do disgusting work, removing injury to health or obstacles to recovery, emptying slop, washing patients, etc., for all of which they receive no thanks.
「クリミアの天使」と呼ばれた彼女だからこそ、より重みが増す言葉だ。たとえ感謝されなくても人の健康に奉仕することこそ、人を救う「天使」なのだ。人がやりたがらない仕事にも積極的に取り組めば、評価も後からついてくることも多い。
経験をもたらすのは観察だけなのである。
It’s as I observe, to bring experience.
肩書きや従事した期間だけで経験は身につかない。実務や人を観察してこそ、本物の経験になるのだろう。
私たちは自分が誉められるためにではなく、私たちが選んだこの仕事に名誉をもたらし、それを前進させるために心を打ち込んで事を成し遂げていこうではありませんか。
Let us devote ourselves to accomplishing this work of our choice, not to be praised, but to bring it forward.
自分が誉められるより、行った仕事を誉められることこそ、仕事の本質ではないだろうか。そう考えることで、仕事をどう進めるべきか気づけるはずだ。
人材は創り出さなければならない。ゆるぎのない基礎を固めるためには、根強い、熱意のこもった数年間が必要なのである。
The material has to be created. To lay a solid foundation will take the patient, anxious labor of years.
どんな分野でも人材の育成は重要だ。だがその基礎を作るには、長期的な取り組みが必要不可欠である。確かな基礎を学んだ人材を作ることも、仕事の一部といえるだろう。
どんな仕事をするにせよ、実際に学ぶことができるのは現場においてのみである。
Whatever you do, you can only learn in the field.
仕事を学ぶには、積極的に現場を知ることが大切だ。
ナイチンゲールの名言3「人生の目標、生き方」
ナイチンゲールは看護師の地位や仕事、病棟環境などの改善・改革を訴え、生涯戦い続けた人間でもある。年齢や性別を超えて人生に目標を持ち、生き方の指標になるような名言を紹介する。
あなた方は進歩し続けない限りは退歩していることになるのです。目的を高く掲げなさい。
You will be stepping back unless you keep improving. Raise your purpose high.
勉強、仕事、運動、どんなことでもやめてしまうと、いつの間にか忘れたりできなくなったりする。高い目標を掲げて努力を続ければ、常に前に向かって歩みを進められる。
物事を始めるチャンスを、わたしは逃さない。たとえマスタードの種のように小さな始まりでも、芽を出し、根を張ることがいくらでもある。
I never lose an opportunity of urging a practical beginning, however small, for it is wonderful how often in such matters the mustard-seed germinates and roots itself.
どんなに小さなきっかけでも、成功に繋がる可能性がある。見逃さずキャッチできるようアンテナを張っておきたい。
今年で30歳になる。キリストが伝道を始めた歳だ。もはや子供っぽいことは終わり。無駄なことも、恋も、結婚も。
I’ll be 30 years old this year. The year Christ has begun to engage. It’s the end that they’re childish already. A wasteful thing, love and marriage.
大人として真面目に生きるのに、遅すぎることはない。ナイチンゲールは30歳で無駄なことを捨てようと決意したが、心に決めればいつでも大人の人生をスタートできる。
人生とは戦いであり、不正との格闘である。
A life is a war and is a fight with injustice.
生きていれば、誰かの不正を目にするだろう。また、自分の中にも怠け心やズルといった「不正」が芽生えることもある。他人の不正だけでなく、自らの不正と戦うことが人生における戦いともいえる。
人生を生きるには、修練が必要です。『まずまずの目的、過ち多き行為、ぐらぐらしている意志』のうちに人生をうやむやに過ごしてはなりません。
Training is needed to live through a life. You shouldn’t lead a life obscurely over “the fairly good purpose, the act I fail and by which I have and shaking will”.
人生を有意義なものにするには、何かに取り組む姿勢が欠かせない。仕事や学業に限らず、趣味や生活にも真剣に取り組んでみよう。
ナイチンゲールの名言4「行動・思考のカギ」
ナイチンゲールの言葉は、あらゆる行動・思考のヒントやきっかけも与えてくれる。行き詰まりや停滞を感じたときに思い出してほしい名言を紹介する。
決して言い訳をしないで。
Never give nor take an excuse.
行動や物事には理由があるが、彼女のいう言い訳は「後ろ向きな理由」ではないだろうか。言い訳を考えるよりも、よりよい結果を目指したい。
わたしが成功したのは、絶対に言い訳せず、言い訳を受け入れなかったからだ。
I attribute my success to this – I never gave or took any excuse.
彼女は言い訳しなかっただけでなく、相手の言い訳も受け入れなかった。言い訳は妥協に繋がる。妥協しないことこそ、彼女の成功の元なのだろう。
恐れを抱いた心では、何と小さいことしかできないことでしょう。
How very little can be done under the spirit of fear.
大きなことを成し遂げるには、恐れを抱いてはいけない。たとえ思うようにいかなくても、恐れず前に進み経験を積み重ねていこう。
愛というのは、その人の過ちや自分との意見の対立を許してあげられること。
Love is to forgive a person’s mistakes and disagreements with himself.
許しとは、相手を認め受け入れることでもある。表層的な愛ではなく、愛の本質をつく言葉だ。
人の思いは、言葉にするだけでは無駄だと思える。そうではなく、結果をもたらす行動に変えるべきなのだ。
I think one’s feelings waste themselves in words; they ought all to be distilled into actions which bring results.
言葉にするだけなら誰でもできる。たった一歩踏み出すだけでも、それは結果に向かって行動することに違いない。
ナイチンゲールの名言は強く前向きに生きるためのヒント
現代看護の基礎を築いた偉人のイメージが強いナイチンゲールだが、統計学者としても成功を収め、イギリス王立統計学会で初の女性会員となった実績もある。
実業家の顔を持つ彼女の言葉から学ぶことは多い。仕事や人生で壁にぶつかることがあれば、生涯戦い続けた彼女の言葉をぜひ思い出してほしい。
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