史上最多マンモスの骨、メキシコで出土 「天然の罠」に捕われたか 絶滅の謎解明に一歩
◆有益な骨と肉 皮肉にも絶滅早めたか
仮に人間が罠で捕らえたものでなかったとしても、マンモスたちの死後、少なくとも何らかの形で人間がその骨を利用していたことは確実だ。ロペス氏はAPに対し、人間が利用していたという証拠が次第に発見されつつあるとコメントしている。参考としてトゥルテペックのマンモス用落とし穴の付近からは、マンモスの骨を加工してナイフやその他の道具を支える柄に仕立てたものが発見されている。今回の出土現場からも同様の道具が数十点も発見されていることから、同様に骨を加工・利用していた線は濃厚だ。さらに、マンモス肉を食用としていた可能性もあり、目下ラボでは骨の分析作業が行われている。人間が肉を捌いたときにできた痕跡が今後骨から見つかれば、推測は確定的となるだろう。
マンモスがなぜ絶滅したかは完全には解明されていないが、今回出土した骨によって謎の解明に一歩近づくものと期待されている。現時点では複数の学説があり、気候変動を主因とするものが有力だ。しかし、AP通信の取材に応じた古生物学者のホアキン・アロヨ・カブラレス氏は、気候変動だけでなく人間によるマンモス狩りが絶滅を早めたとの説を支持している。今回の発掘は貴重な事例であり、人間の存在が絶滅に影響したか否かを検証する一助になるだろうと氏は考えているという。
ロイターによると、歴史的な今回の発掘を記念し、出土品の一部を空港のメインターミナルに展示する計画が持ち上がっている。絶滅から数千年を経てなお、マンモスは化石となり、空港を訪れる旅行者たちに太古のロマンを与え続けることだろう。
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