史上最多マンモスの骨、メキシコで出土 「天然の罠」に捕われたか 絶滅の謎解明に一歩
メキシコの首都であるメキシコ・シティ近郊の空港建設現場で、おびただしい数のマンモスの骨が発掘された。その総数は200体を超えており、同一箇所から発見されるものとしては史上最大の数となる。かつて一帯には、地形による天然の罠が形成されていたという。
◆空港工事中に出土
現場は首都メキシコシティから北へ50キロほど離れた地点にあり、新たに建設中のサンタルシア空港の工事現場にあたる。きわめて数が多く出ていることから、空港建設現場ではブルドーザーごとに監視役をつけて運用しているほどだ。土を掘り起こした際にマンモスの骨が確認されると、直ちに作業が中断される。これまでは米サウスダコタ州ホットスプリングスで出土した61体がマンモス出土の最大記録であったが、今回の200体はこれを抜き史上最大規模の発見となる。APによると、200頭分のマンモスの骨ほか、ラクダ25頭と馬5頭分の骨も同じ現場から出土した。
その出土箇所の数は、工事現場構内の194地点にも上る。上記のマンモスやラクダなどのほかにバイソンや魚などの骨も発掘されているが、比較的重要でないこれらのものはすぐに埋め戻されているようだ。科学情報を伝えるAFPは、骨の多くは2万5000年前から1万年ほど前に地中に呑まれたものだとする分析結果を伝えている。貴重な出土品が確認されたとはいえ、現場は稼働中の工事現場だ。数千人規模の工事関係者が建設作業にあたり、それと並行して考古学者たちが発掘に立ち会うという珍しい事態となっている。