英国にも外来スズメバチ侵入 「見つけたら連絡を」養蜂団体ら強い危機感

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◆退治にかかる費用はイギリスだけで11億円
 ツマアカスズメバチの外来種としての恐ろしさは、その侵入の速さだ。学術誌NeoBiotaの発表を伝えるメトロ紙の記事(4月10日付)によれば、「専門家の計算では、ツマアカスズメバチはフランス全土に毎年40~50マイル(65~80キロメートル)の早さで広がっていった」という。そして、「この侵略を止めないと英国の被害は毎年760万ポンド(約11億円)に上るだろう」という。

 ツマアカスズメバチはヨーロッパだけの問題ではなく、アメリカ、オーストラリア、アルゼンチン、トルコ、日本や韓国でも確認されており、地域的にだがかなりの被害をもたらしている。NeoBiotaではそれぞれの国のツマアカスズメバチに対する概算損害額を発表しているが、どの国も億単位となっている。

 環境破壊から地球規模でその減少が懸念されているミツバチはもちろん、農作物の受粉を助けるほかの昆虫たちが危機に見舞われるということは、私たち人間の危機に繋がる。

 メトロ紙は、「科学者たちは、ツマアカスズメバチの侵略に対してもっと積極的な歯止め対策とリサーチが必要だと説く」と書く。新型コロナ感染症では国際協調の大切さが叫ばれているが、スズメバチ退治でも世界各国の足なみを揃えなければならないときが来ているのかもしれない。

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Text by 西尾裕美