中国・三峡ダム崩壊説が再浮上 記録的大雨で不安高まる

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 中国政府に批判的なデジタルニュース・メディアのNTDTVは、三峡ダムが崩壊の危機にあるという専門家の主張を取り上げている。ドイツ在住の中国人水文学者、王維洛氏によれば、1998年の深刻な水害の後、当時の国家主席がダムの構造の品質管理評価のため、西洋の専門家を雇ったという。その結果、棒鋼の溶接が基準を満たしていないことが判明した。その時点でダム左岸の棒鋼の溶接とセメントの注入は完了しており、やり直しはできなかったとしている。西洋人の評価に対し中国の労働者は不快感を示し、批判は人種差別だと受け止められたとされる。

 王氏はさらに、2019年に書いた記事のなかで、ダムは独立した十数個のコンクリートブロックで構成されているが、ブロックがダム底の岩床の上に敷かれているだけで岩床と結合されていないと述べる。ダムが崩壊すれば下流の4億人の住人に影響が出るとしている。

 またNTDTVは、中国政府系メディアはダムが稼働したときには最悪の洪水にも1万年耐えるという壮大な主張をしていたが、その後「1000年」、さらには「100年」に主張を変えており、これはダムに対する信頼の低下を示唆していると述べている。

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Text by 山川 真智子