日本政府の無理解が仇に? 国連部会の「ゴーン氏勾留は不当」、海外はどう見たか

Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com

◆日本大反論、意見書は不公平で事実誤認
 作業部会の見解は、国連や人権理事会としてのものではなく法的拘束力はないが、外務省は意見書が到底受け入れられるものではないとし、異議申し立てを行った。

 11月23日の報道発表では、日本の刑事司法制度は適正に運用されていると反論。ゴーン氏に対する刑事手続きについても、日本が締結する人権諸条約に抵触するものではなく、ゴーン氏の権利を十分に保障しつつ進められてきたものであり、「恣意的拘禁」にはあたらないと述べている。さらに、ゴーン氏が保釈の条件を守らず国外逃亡したことに言及し、刑事裁判から逃避することは許されざる行為だと断じた。

 反論はさらに続き、ゴーン氏の事案が公判開廷前であることから、日本側に捜査・公判に関する情報提供が認められていないにもかかわらず、ゴーン氏側からの一方的な情報に基づき作業部会の結論が出されたことは遺憾だとした。さらに、そもそも証拠隠滅や逃亡の恐れから逮捕・勾留され、その後その恐れを現実にして裁判から逃避したゴーン氏に関し、「恣意的拘禁」と判断した点を問題視。逃走行為を正当化する考えを助長し、司法制度や正義の実現を阻害するものだと主張した。最後に複数の事実誤認を指摘したうえで、作業部会の意見を完全に拒絶するとした。

次のページ ハンコ以下なのか? 変わらない司法制度




Text by 山川 真智子