日本政府の無理解が仇に? 国連部会の「ゴーン氏勾留は不当」、海外はどう見たか
◆日本の問題点続々 海外メディアが制度を批判
作業部会の見解は、日本の制度的問題として海外メディアも大きく報じている。英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、逮捕当日、ゴーン氏が羽田空港にプライベートジェットで乗りつけたときにすでに日本のメディアは逮捕のことを知っていたこと、同氏が23日間の勾留期限が来るたびに複数回逮捕され、尋問が長引き自由が奪われたこと、取り調べの際に弁護士を伴うことができなかったことなどは問題だとしている。さらに、99パーセント以上という日本の有罪率も、制度が力の不均衡の上に成り立っていることを示すのではないかとしている。
米NBCニュースも、ゴーン氏が小さな暖房のない独房で数ヶ月を過ごし、同氏を獄中に留めるために繰り返し新しい容疑がかけられたと解説。「国際法のもと法的根拠のない、司法の権限を越えたプロセスの乱用」という作業部会の意見を引用している。もっとも、作業部会の専門家の一人からは、ゴーン氏の自由が奪われたことには同意するが、対応が恣意的だったかどうかは明らかではないという意見も出ていた。また、ゴーン氏本人は逃げ延びたものの、逃亡計画に関わった数人は日本への引き渡しに直面しているとも述べ、事件の皮肉な結果にも触れている。
APは、日本の制度は繰り返し人権活動家から批判されてきたとし、作業部会が「代用監獄」制度への懸念を意見書内で示したことに注目した。この制度は、本来被疑者を裁判所に連れて行くまでの間、一時的に留め置く場所であるはずの警察留置場を「刑事施設(拘置所)」の代わりに使用する仕組みだ。裁判所が勾留を決定した場合は、被疑者は法務省管轄下の拘置所に送られるはずだが、実際には警察留置所に勾留される場合がほとんどだと日本弁護士連合会も指摘している。自白に大きく頼り、被疑者への拷問や虐待、強制を招きかねない制度が事実上続いていることを、APは問題視している。