猫と仲良くなりたい? 研究でわかった簡単テクニック
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猫とより良い関係を築きたいけど、なかなかうまくいかない−−そういった悩みを抱えている飼い主は多いのではないだろうか。そんな人にぜひ試してもらいたいテクニックがある。目を細めてゆっくりとまばたきする「スローブリンク」である。2020年にイギリスの研究者が発表した研究により、猫と人間のコミュニケーションにおけるスローブリンクの重要性が科学的に示された。
この研究は、サセックス大学の動物行動学者であるタスミン・ハンフリー博士とカレン・マッコーム教授を中心としたチームによって実施された。彼らは、猫がリラックスしている際に見せる「スローブリンク」という行動に注目し、その行動が猫と人間の絆を深める鍵であることを発見したのだ。
◆スローブリンクとは?
スローブリンクとは、猫がリラックスしているときに見せる、目を細めてゆっくりとまばたきする行動である。この動作は、猫が安心感や信頼を示すサインとされている。
猫は通常、緊張しているときや警戒しているときには目を見開いて対象を観察する傾向がある。スローブリンクはその逆であり、目を細めることで「私は脅威ではない」というメッセージを伝えている。
サセックス大学の研究チームによると、このスローブリンクを人間が行うと、猫がリラックスして反応する確率が高まることが確認された。猫もこのサインを人間に送り返すことがあり、これが信頼関係の構築につながるとされている。
この行動は猫同士のコミュニケーションにも見られ、特に親密な関係の猫同士で頻繁に行われることが観察されている。
◆研究の概要
研究の目的は、猫と人間の間で視覚的なコミュニケーションがどのように成立し、スローブリンクがその構築にどのような影響を与えるのかを明らかにすることで、2つの実験を通じてスローブリンクの効果を検証した。
飼い主との実験では、飼い主が自分の飼い猫にスローブリンクを行い、その後の猫の反応を観察した。結果として、飼い主がスローブリンクを行った際、猫も同様にスローブリンクで応答する確率が高まることが確認された。また、スローブリンクを行った飼い主に対して、猫がより近づきやすくなり、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢も見られた。
飼い主以外の人との実験では、猫が知らない人に対してスローブリンクを行うかどうかを調査した。研究者がまずスローブリンクを行い、その後、猫がどのように応答するかを観察。結果として、猫は中立的な表情を示された場合よりも、スローブリンクを行われた場合の方が相手に近づきやすくなることが判明した。
これらの結果は、スローブリンクが猫と人間の間で信頼関係を構築するための重要な手段であり、特に猫に安心感を与える効果があることを示している。
◆実践方法
スローブリンクを試す際は、以下の手順を参考にしてみよう。
1 猫と目を合わせ、リラックスした笑顔のように目を細める
2 その後、ゆっくりと目を閉じ、数秒間そのままにする
3 再び目を開け、猫の反応を観察する
この方法は、飼い猫だけでなく、外で出会う猫にも応用可能だという。猫がスローブリンクで応答することで、相互の信頼感が高まり、より良い関係を築くことができる。
◆研究の意義
研究の第一著者であるハンフリー博士は、研究の意義について、「猫と人間がポジティブに交流する方法を理解することは、猫に対する社会の理解を深め、猫の福祉を向上させるだけでなく、この十分に研究されていない種の社会的・認知的能力についても多くを教えてくれます」と語る。「私たちの研究結果は、動物病院や保護施設など、さまざまな環境における猫の福祉を評価するために活用できる可能性があります」