コーヒーの抽出方法によって心臓病リスク、研究 愛飲家に注意喚起

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 オフィスでコーヒーを飲む習慣のあるスウェーデンで、コーヒーメーカーで入れたコーヒーの成分を分析した結果、健康上のリスクにつながる成分を多く含有していたことが分かった。オフィスにあるコーヒーを1日何杯も飲む人は、上質なコーヒーに変えたほうがいいかもしれない。

◆フィルターなしで入れたコーヒー要注意
 オフィスのコーヒーメーカーで入れたコーヒーが従業員の健康に影響を及ぼしている可能性があることが、学術誌「Nutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases」に掲載された新しい研究成果で明らかになった。

 スウェーデンのウプサラ大学の研究チームは、チャルマース工科大学と共同で、国内のオフィスにある14種類のフィルターなしのコーヒーメーカーで入れたコーヒーと、ペーパーフィルターやフレンチプレス、エスプレッソなどの伝統的な方法で入れたコーヒーを比較した。

 コーヒーは5つのレギュラーブランドの豆を挽いたものを使用した。研究者は、何度かに分けてマシンで作られたコーヒーからサンプルを採取し、その内容を分析した。

 その結果、オフィスのコーヒーメーカーから採取されたコーヒーのサンプルのほとんどは、LDLコレステロール(悪玉コレストロール)値を上昇させる可能性のある化合物ジテルペン(特にカフェストールとカウェオール)を多く含有していた。

 研究者は、職場のコーヒーメーカーによくあるような、ろ過の不十分なコーヒーを飲むことは、特定のコレステロール濃度に起因する心臓疾患にかかるリスクがあると結論づけた。

 コレステロール値が高いと、動脈にプラークが蓄積し、動脈が狭くなって血流が制限される。その結果、心臓病や脳卒中などの健康問題を引き起こす可能性がある。

◆ろ過されたコーヒーがベター
 さまざまなコーヒーの抽出法を比較した結果、ジテルペン含有量が最も少ないのは、紙フィルターを使用する一般的なドリップコーヒーで、ほぼ完全に分子をろ過できた。一方最も多いのは、オフィスのコーヒーメーカーの煮出したコーヒーだった。エスプレッソにはジテルペンが多く含まれているものもあったが、その結果はさまざまであった。

 スウェーデンのウプサラ大学の研究者で、同研究の主執筆者のデビッド・イグマン氏は「コーヒーにコレステロールを上昇させる物質が含まれているということは、フィルターのろ過が重要になると推察される」と述べる。

 同じコーヒーメーカーのテスト間で大きなばらつきがある場合、金属フィルターを掃除することで、かえって特定の物質をろ過する能力が低下することがあり、それが要因として考えられるとしている。

 イグマン氏は「ほとんどのコーヒーのサンプルは、コーヒーを飲んだ人のLDLコレステロールの上昇だけでなく、将来の心血管疾患の発生リスクに影響を及ぼすレベルに達していた。毎日たくさんのコーヒーを飲む人にとっては、ドリップフィルターコーヒーやほかのよくろ過されたコーヒーを飲んだほうがいい」と見解を示した。

Text by 中沢弘子