ハイチで新たなギャング襲撃 1ヶ月で6000人が家を失う

ギャングの襲撃によって死亡した男性の遺体を運ぶ人々(25日)|Odelyn Joseph / AP Photo

 カリブ海の島国ハイチの首都で、ギャングが25日未明、新たな攻撃を仕掛け、かつては平穏だった地域で多数の市民が犠牲となった。首都ポルトープランスのデルマ30地区での襲撃は夜明け前に始まり、銃声が街に響くなか、人々はパニックに陥りながら家を飛び出した。赤ん坊を抱えたり、高齢者を背負ったりしながら避難する人の姿も見られた。

 「この国は苦しんでいる」と述べる27歳のモリセット・セドリック・クリスチャン氏は、今回の攻撃はギャング連合「ヴィヴ・アンサム」によるものとして非難した。同ギャング連合は別の最近の襲撃でも犯行声明を出している。「彼らは私たちを生かしておかないつもりだ」とクリスチャン氏は言う。

 地元メディアによると、襲撃の犠牲者のなかにはハイチ軍の兵士2人も含まれていたという。

 警察や軍の広報担当者は、コメントを求めるメッセージにすぐには返答しなかった。

 名前を明かさなかった男性は、襲撃で命を落とした親族の遺体を回収し、一輪車に乗せた。「見てくれ、大勢の人が犠牲になっている」と語り、ギャングの襲撃から逃れるのは困難だと嘆く。「右へ逃げても行き止まり、左へ逃げても行き止まりだ」

 国連が25日に発表した声明によると、ここ1ヶ月でポルトープランス都市圏ではギャングの暴力により6000人以上が家を失った。国連は、今回の襲撃以前に発生したほかの攻撃について、「家族全員が自宅で無残に殺害されたケースもあれば、子供や赤ん坊を含む人々が逃げようとしたところを銃撃されたケースもある」と指摘した。国連の報告によれば、昨年1年間でハイチ全土で5600人以上が殺害され、ギャングの暴力によってこれまでに100万人以上が家を追われたという。

By PIERRE RICHARD LUXAMA Associated Press

Text by AP