指輪にバーコード仕込みセルフレジ…高額商品盗んだ男逮捕 アメリカ
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指輪に仕込んだバーコードで、商品を不正に入手する——。こんな事件がアメリカで発生し、男が逮捕された。「巧妙」と報じられるその手口とは。
◆入念な計画もあえなく御用
米アイダホ州の州都ボイジー市から西へ約40キロのコールドウェル市で、スーパーマーケットチェーンのウォルマートの店舗にて窃盗事件が発生した。
コールドウェル市警察の発表によると、2日午後6時、通報を受けて警察官が現場に向かった。警察官が到着する前、通信指令室は、容疑者をディラン・ロックウェル(32)と特定。容疑者は店舗を出て車でクリーブランド通りを西方向に移動中だったという。
警察はロックウェル容疑者を自宅で「抵抗なく」拘束し、盗難商品を回収した。コールドウェル市警察の声明は「捜査員による取り調べで、容疑者は事情聴取に応じた」としている。取り調べの結果、ロックウェル容疑者は複数のウォルマート店舗での窃盗を認めた。警察は重窃盗罪と判断している。
その手口とは、セルフレジで指輪を使い安く会計を済ませるものだった。ミラー紙は、「巧妙」な手口だったと報じている。
◆本来と異なるバーコードをスキャン
ミラー紙によると、ロックウェル容疑者は自作のバーコードを取り付けた指輪を使用する手口で窃盗を行っていた。セルフレジで商品をスキャンする際、この指輪のバーコードを本来の商品のバーコードの代わりにスキャンすることで、300ドル(約4万6000円)相当のグリルをトマトスープと会計機に誤認させて購入しようと試みたという。
この事件についてコールドウェル市警察のレックス・イングラム署長は声明で、皮肉を込めたコメントをした。
「申し訳ありませんが、ロックウェルさん、今回はその手口は通用しませんでした。ただ、あなたの創造性には感心しました。時代が厳しいのは分かりますが、その創意工夫のおかげで、今夜はカウンティの留置所でスープを食べることになりましたね」
◆米小売店で相次ぐ窃盗被害
ミラー紙は、アメリカのウォルマートで窃盗が相次いでいると報じる。米オハイオ州コロンバス市では、ウォルマートへの立入禁止処分を受けていたセス・スタイアーズ容疑者(33)が1月14日、ジョージズビル通り店舗で2つのダッフルバッグに商品を詰め込み、非常口から逃走した。スタイアーズ容疑者は2023年12月10日に全ウォルマート店舗への立入禁止処分を受け、署名で同意していたという。
2023年の窃盗の被害額は1210億ドルという事態に、小売業界は対策を強化している。サン紙によると、小売大手のターゲットは、セルフレジでの購入商品数を制限。2024年3月時点で、米国内2000店舗でこの制限を実施している。
一方で、行きすぎともいえる防犯対策に顧客は不満を抱いている。高額商品の掃除機や塗料などが施錠された展示ケースに保管されていることに対し、「犯罪者扱いされているよう」だとする不快感や、商品を取り出すまでに「20分も待たされる」といった声が上がっているという。
海外の小売店は不正に目を光らせており、店員が顧客の会計内容を抜き打ちチェックする場合もある。指輪型の偽のバーコードを使う手口もかんたんに見破られたようだ。