「超加工食品」、認知障害と脳卒中リスク増大の可能性 米研究
1日の食事のなかで、ハンバーガー、ケチャップ、マヨネーズなどいわゆる「超加工食品」と呼ばれる食べ物を取らない日はおそらくないだろう。健康に悪いということは言われているが、人々が食べる物を11年間追跡調査した結果、脳の認知機能や病気のリスクを増大させる可能性があることがわかった。
◆超加工食品が脳の健康状態に影響
清涼飲料水、ポテトチップス、クッキーなど、超加工食品を摂取することで、脳卒中や認知機能低下のリスクが高まる可能性があるとの研究結果が5月22日、アメリカ神経学会の学術誌ニューロロジーにて発表された。
アメリカのボストンにあるマサチューセッツ総合病院の研究員らは、45歳以上の黒人または白人と自認する被験者3万239人を平均11年間追跡調査した。
認知機能低下の研究に1万4175人、脳卒中の研究に2万243人を選んだ。どちらのグループも、認知機能障害や脳卒中の既往歴はなかった。被験者のうち、研究終了までに768人が認知機能障害と診断され、1108人が脳卒中を発症した。
認知機能群において、記憶や思考に問題が生じた人は、食事の25.8%が超加工食品だったのに対し、認知機能に問題が生じなかった人は24.6%だった。
年齢、性別、高血圧、その他認知症リスクに影響する因子を調整した結果、超加工食品を食べる量が10%増えると、認知機能障害のリスクが16%高くなることがわかった。
また、未加工または最小限の加工食品を多く食べることは、認知機能障害のリスクを12%低下させることもわかった。
脳卒中群では、調査中に脳卒中を発症した人は食事の25.4%が超加工食品だったのに対し、脳卒中を発症していない人は25.1%だった。
調整後、加工食品の摂取量が多いほど、脳卒中のリスクが8%増加する一方、非加工食品または最小限の加工食品の摂取量が多いほど、脳卒中のリスクが9%減少することがわかった。
◆「超加工食品は減らしたほうがよい」
今回の調査で、超加工食品の摂取が記憶や思考の問題や、脳卒中を引き起こすという主張を証明するまでに至らなかったが、関連性を示すことができた。
本研究の著者であるボストン・マサチューセッツ総合病院のW・テイラー・キンバリー医学博士は、「どの食品または加工成分が最も脳の健康状態に影響を与えているのかを特定するには、さらなる研究が必要になる」と言う。
また「原則として、自宅のキッチンで簡単に作れない食品は、減らしたほうがよいだろう」「小さな変化であっても、影響を与える可能性がある」と述べた(メディカル・ニュース・トゥデイ)。
別の研究で、超加工食品の摂取は、心臓病、精神衛生上の問題、2型糖尿病、呼吸器系の問題、睡眠不足、がんを含む32の有害な健康状態のリスクと関連していることがわかっている。
超加工食品は、砂糖、脂肪、塩分を多く含むが、タンパク質や食物繊維が少ない。清涼飲料水、塩分や糖分の多いスナック菓子、アイスクリーム、ハンバーガー、ホットドッグ、ベイクドビーンズの缶詰、ケチャップ、マヨネーズ、加工パン、味付けシリアルなどが該当する。未加工または最小限の加工しかされていない食品には、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類、野菜や果物が含まれる。(メディカルエキスプレス、5/22)
アメリカの食品供給の70%以上が超加工食品で占められていると言われている。