なぜ若い世代のがんが増えているのか? 50歳未満、30年で8割増

Ground Picture / Shutterstock.com

◆遺伝やライフスタイルも がんになる要因はさまざま
 若い人のがんが増加しているもう一つの要因は、遺伝的素因だ。大腸がんや乳がんなどに多く、がんのかかりやすさは、家族を通じて受け継がれる場合がある。保因者(何らかの変異がある遺伝子を持っていても、病気や症状が出ない人)が長生きしより多くの子孫を残すと、原因となる遺伝子が集団に蓄積される可能性があるということだ。(ガーディアン紙)

 昨年発表されたがん研究では、若い世代で消化器がんの発生率が増加していることが強調され、おそらく行動、ライフスタイル、食事、環境などの非遺伝的要因に関連しているとみられている。親から受け継いだのではなく個体において新しく発生した変異、環境要因、ライフスタイルの変化、赤肉や加工肉を多くとる食事、運動不足が、若年層におけるがん増加の原因で、幼少期からの影響が積み重なっているとされた。(スペイン紙エル・パイス英語版)

◆生存率は高い 若い世代ならでは課題も
 米CBSのインタビューを受けた医師は、食生活の見直しなど、自分でコントロールできることをすべきだが、同時にまず検診を受けることが大切だと述べる。若い世代は進行の早いがんを発症しやすいこともあり、早期発見が命を救うとしている。

 英がん研究所CEOのミシェル・ミッチェル氏も、がんを早期に発見することは治療が成功する可能性が高くなることを意味すると述べる。英ウォーリック大学のローレンス・ヤング教授は、がんの生存率は一般的に若い患者ほど高いとし、高齢の患者より高容量の化学療法に耐えられることが、若い患者にとっての良いニュースだとしている。(ガーディアン紙)

 もっとも、若い世代のがんは患者に大きな心理的影響を与えるとエル・パイスは指摘。幼い子供を持つ働き盛りの成人なら、がんは大きく生活を混乱させ、不安を増大させるとする。キャサリン妃も3人の子供たちのことを考え、公の場で声明を出さないことに決めたと明かしており、高齢者の場合とは違うがん罹患の問題点を指摘している。

Text by 山川 真智子