先進国の若者、「中年の危機」を経験? 幸福度調査、北米などで憂慮される結果

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◆アメリカ、カナダの若者の幸福度低下
 今回初めて年齢層別の幸福度ランキングも盛り込まれた。世代別では、1965年以前に生まれた人は、1980年以降に生まれた人よりも平均して幸福度が高い。ミレニアル世代では、年齢が上がるごとに自分の人生に対する評価が下がるが、ベビーブーマー世代では年齢が上がるごとに人生の満足度が上がることがわかった。

 世界的に15歳から24歳の若者の幸福度は上昇しており、高齢者よりも高い生活満足度を報告している。しかし、特に2019年以降、北米、西ヨーロッパ、中東・北アフリカ、南アジアで15歳から24歳の幸福度が低下しており、高齢者との差はヨーロッパでは縮小、北米やオセアニアでは逆転している。

 60歳以上で10位だったアメリカは30歳未満の層で62位、60歳以上で8位だったカナダは30歳未満で58位だった。オーストラリアやニュージーランドも若者の順位が高齢者を大幅に下回った。

 オックスフォード大学ウェルビーイング研究センター所長兼サイード・ビジネス・スクール経済学・行動科学教授で、同報告書の編集者でもあるヤン・エマニュエル・デ・ネーヴ氏は、「特に北米と西ヨーロッパにおける子供と青少年の幸福度が低下したのは憂慮すべき点だ。子供たちがすでに中年の危機に相当する経験をしていると考えられ、早急に政策を講じるべきだ」と懸念を述べた

 ランキング最下位は依然としてアフガニスタンで、ワースト順に、中東のレバノン、アフリカのレソト、シエラレオネ、コンゴ民主共和国が続いた。

 日本は、昨年の47位(137ヶ国)より順位を落とし51位(143ヶ国)で、1人当たりのGDPに次いで、社会支援の評価が高かった。アジアのなかでは、30位のシンガポール、31位の台湾を下回り、52位の韓国、60位の中国を上回った。

Text by 中沢弘子