小児性愛の神父が手がけたステンドグラス、撤去めぐる動き フランス

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 言いかえれば、いまもフランス南東部の多くの教会に飾られる「教会のピカソ」の作品は、被害者たちにとって忌まわしい記憶を呼び起こすものにほかならない。これを考慮し、同神父が活動したリヨン、グルノーブル、サンテティエンヌの3教区は、同神父の犯罪が明らかになった時点で、作品を撤去していく意向を示していた。

◆一筋縄ではいかないステンドグラス撤去
 だが、絵画はともかく、ステンドグラスの撤去はなかなか進んでいない。まず、ステンドグラス撤去には、物理的な技術が必要である。次に、教会の壁は基本的に自治体が所有しているため、ステンドグラス撤去には自治体の許可が必要となる。加えて、現代のものともなれば、出資者の賛同も取っておきたいところだ。

 実際、同神父の所業が暴かれてすでに1年9ヶ月経つが、現在までに撤去を終えたステンドグラスは数えるほどしかない。それでも大半は、撤去に向けて調整中だが、なかにはジヴォール市のように、自治体が明確に撤去を拒否しているケースも存在する。(20minutes紙、10/25)

◆作家と作品は分けて考えるべきか?
 撤去を拒否するジヴォール市長の判断には、「作家と作品は分けて考えるべき」という基本的な考えが潜んでいる。作家と作品を分けるべきかというテーマは、これまで繰り返し議論の対象となってきた。たとえば、フランスの高等教育機関ESSEC(エセック)でも2020年に討論が行われた。これを見ると、芸術家とその作品を切り離して捉えるという考え方は決して突飛なものではなく、むしろ知識人にはそういった考えを示した人が少なくなかったことがわかる。

 とはいえ、作品に寄せられた賞賛や名誉などはすべてその作家に向かうのが常で、現実世界において完全に分けて考えることは容易ではない。

Text by 冠ゆき