イギリス人の紅茶愛が終わる? コーヒーの人気が上回る
◆富裕層独占から庶民のもとへ 紅茶は生活の一部
食とポップカルチャーのサイト『テイクアウト』は、紅茶を語るには植民地主義に目を向けることが重要だとする。実は1600年代、イギリスはコーヒーの国であり、紅茶は富裕層が飲む「エキゾチック」な飲み物だったという。しかしイングランドの統治下にあったインドで紅茶が栽培されるようになり、価格が下がって一般人も入手できるようになったという。突如大量に市場に出回るようになったことと、裕福な人々の習慣を真似したいという庶民の願望が組み合わさり、国民的な熱狂が紅茶に用意された。
以来紅茶はイギリス人の生活の一部となり、ささやかな家族の思い出から非日常的事件まで、だれもが紅茶にまつわるエピソードを持っているとテイクアウトは述べる。紅茶のパワーを示したのが、1990年のサッカー・ワールドカップの西ドイツ対イングランド戦での出来事だ。PK戦後、ストレス疲れしたテレビ視聴者たちが推定110万個の電気ケトルで紅茶を入れる湯を沸かしたため、送電網を圧倒する記録的な電力需要が発生したという。
◆トレンドに流されない! 紅茶愛はなくならない
今後紅茶の人気が衰退するかどうかだが、個々の歴史や感情的なものとつながった紅茶は、コーヒーの猛追にも負けないとテイクアウトは見ている。
ガーディアン紙は、興味深いことに伝統的にコーヒーを飲む国であるアメリカでは、若い層がますます紅茶を選ぶようになっていると指摘。結局のところ、現在の変化は単に目新しさによるものではないかとしている。本当に重要なのは、温かい飲み物が与えてくれる休息、自分へのささやかなご褒美感、他人と分け合いながら交流する機会、そして素敵なカップを愛でる機会であり、現在のトレンドの理由探しに大きな意味はないと見ている。
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