フランス、ベルギーでテロ 欧州で再び高まる脅威
◆ベルギーではスウェーデン人銃殺事件
この衝撃もまだ癒えぬうち16日に起きたのが、ベルギーのテロ事件だ。首都ブリュッセルの街中で、夜、銃撃により2人が死亡、1人が怪我を負った。亡くなったのは、スウェーデン国籍を持つ二人だった。16日の夜はブリュッセルでベルギー対スウェーデンのサッカーの試合があり、事件は試合開始の少し前に起きた。一旦試合は予定通り始まったが、テロのニュースが届き、ハーフタイムで中断された。
また実行犯が逃走中であったこともあり、安全のため観客らはその後夜中まで、2時間半以上スタジアムに足止めされた。とはいえ、大きな混乱はなく、寒さの中、スタジアムではスウェーデンを応援する歌や、連帯を呼びかける声などが聞こえたという。(20minutes紙、10/17)
この銃殺事件の容疑者は、45歳のチュニジア国籍の違法滞在者と見られていたが、翌17日朝、警察による逮捕の現場で死亡した。(フランス・アンフォ、10/17)
◆スウェーデン人が狙われた背景はコーラン「冒涜」事件
今回ブリュッセルで亡くなった2人の犠牲者は、スウェーデンのサッカーチームのユニフォームを着ていたため、標的として狙われたのではないかと考えられている。というのも、スウェーデンで非イスラム教徒であるイラク難民がイスラム教の聖典であるコーランを燃やすデモを行って以来、スウェーデンは多くのイスラム教国の反感を買っているからだ。
コーランへの「冒涜(ぼうとく)」とそれを「許可」したスウェーデン警察に激怒したイスラム世界は、それぞれの国でさまざまな抗議活動が展開された。たとえば、イラクではシーア派指導者がデモを呼びかけ、そのデモ隊がイラクのスウェーデン大使館に一時的に侵入する騒動を起こしたり、果てはスウェーデン大使館への放火まで行われた。また、モロッコは駐スウェーデンの自国大使を召還し、クウェートは駐クウェートのスウェーデン大使を呼び出して抗議した。
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