シンガポール、10年の車所有権が1600万円に高騰 アパートより高価に

Piotr Kloska / Shutterstock.com

 シンガポールは、狭い国土のために厳しい車両規制を敷いている。その一つが、自動車台数を制限するために導入した車両所有証明書の取得義務化だ。自家用車両を所有・使用するには、この証明書が必要になる。この証明書を取得する費用が記録的に上昇している。これに加えて、自動車購入時には輸入関税、消費税、車両登録料、追加登録料、道路税などもかかり、1台の自家用車両の平均購入額はマンションを買える価格になっている。自動車を所有するのは、まさにシンガポール・ドリームだ。夢のまた夢と呼ばれる自動車の購入額ははたしていくらなのか?

◆世界一高い自動車購入額
 シンガポールで自動車を所有するためには、自動車購入者は車両所有証明書(COE)を入札しなければならない。その価格は大型車の場合、2020年から4倍以上に値上がりし、現在過去最高の14万6002シンガポールドル(約1590万円)に達している。

 人口590万人の、車で1時間足らずで横断できるこの都市国家は1990年、交通渋滞緩和対策として自動車保有台数を制限するため有効期間10年のCOEの取得を義務化した。政府はCOEの割り当て発行数を公表し、発行されたCOEは2週間ごとに行われる入札で購入できる。入札費用に加えて、輸入関税、車両税などが上乗せされ、車両購入額は世界一になっている(BBC、10/5)。

 たとえば、COEや税金を含めたトヨタ・カムリ・ハイブリッドの標準価格はアメリカでは2万8855ドル(約430万円)だが、シンガポールでは25万1388シンガポールドル(約2740万円)になる。これに対し、政府の助成を受けた小さなアパートの価格は約12万5000シンガポールドル(約1360万円)だ。(ロイター、10/5)

Text by 中沢弘子