日本ブームで次々と? フランス語になる日本語たち
◆本来の意味に近づいたもの、いまだにずれているもの
saké(酒)は、かなり以前から使われてはいたが、その頃は中国の蒸留酒である白酒(バイジウ)を指していた。清酒の認知度が上がり、醸造酒である日本酒を指して使われるようになったのはごく最近のことだ。
このsakéは、時を経て本来の意味に近づいた例だが、なかにはいまだに少し使い方がずれているものもある。kamikaze(神風)がその代表で、特攻隊の意味しか流布しておらず、いまだに自爆テロリストの意味でしか用いられていない。また、これも昔から知られる語であるkimono(着物)は、和装のことも意味するが、むしろナイトガウンを指して用いられてきた。しかも、柔道や空手の道着もkimonoと呼ばれている。
◆意外な人気の単語や派生した意味
「日本」のことはフランス語ではJapon(ジャポン)と言うが、最近市民権を得ているのがNippon(ニッポン)で、新聞などのメディアでも普通に使われる。これだけ知名度が上がってきたのだから、公式にフランス語名も、英語名もNipponにすれば良いのではと思うのは筆者だけだろうか。
個人的には、最近聞くようになったもののなかでは、bento(弁当)の人気に驚いている。弁当箱も非常に人気で、弁当箱専門の店が誕生したほどだ。また、bentoを店名に使ったレストランまで登場している。
折り紙は、origamiという単語より先にpliage(紙を折ること)としてフランスで広まった。それがいつの間にかorigamiも使われるようになり、折り紙で作っていなくてもそう見えるものもorigamiと呼ばれることがある。たとえば、エルメスが売り出したキーホルダーは、絹製だが折り紙の馬の形をしているため、origamiという商品名がつけられている。