日本ブームで次々と? フランス語になる日本語たち

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◆グルメ分野での躍進
 そのほか、筆者の印象では、グルメ部門で用いられる日本語も増えた。たとえばumami(旨み)は、新しい「味」として何度もメディアに取り上げられているし、チョコレート店やパティスリーの店に行けば、yuzu(柚子)やmatcha(抹茶)などの単語が当然のように用いられている。最近では、ふわふわの日本のパンケーキが流行し、hottokeki(ホットケーキ)が併記されるケースさえ目にする。

 健康に気を配る人が増えたことも、日本食材名の流布に貢献したように思う。オーガニック専門店に行けば、tofu(豆腐)以外にも、shoyu(醤油)、miso(味噌)、azuki(小豆)、mirin(みりん)などが普通に通じる時代になった。

◆日本的な価値観への共感
 フランスに漠然とした憧れを持つ日本人がいるように、極東の国の日本に憧れを抱くフランス人も一定数存在する。大きく立派なものよりも小さく細やかなもの、永遠に続くものよりも儚いものに美を感じることが多い日本人の感覚に、共感を覚えるフランス人も少なくない。

 おそらくはそういう人たちを通してであろうか、日本で昔から使われてきたエコロジーな品や技もフランスに入って来つつある。それがたとえばfuroshiki(風呂敷)であったり、kintsugi(金継ぎ)であったりする(20minutes紙、3/5)。

 筆者の周りでも、コロナ鎖国が解かれた途端、日本旅行を予約した(し直した)人が数多くいる。その多くは40代以降だ。主にネットを通して日本を知る若い世代と、日本旅行で日本を知る中高年世代。彼らが、次はどんな日本に目を留め、どんな言葉をフランスに持ち込むのか、楽しみな気がする。

Text by 冠ゆき